大の里、本紙選定の大相撲幕内最優秀新人賞「本当に名誉ある賞をいただけて光栄」対象期間中に優勝&大関昇進は史上初
中日スポーツ、東京中日スポーツ制定の第61回大相撲幕内最優秀新人賞に25日、大関の大の里泰輝(おおのさと・だいき、24)=二所ノ関=が選考委員による投票で決まった。年明け1月12日の初場所初日中入り前に、東京・両国国技館の土俵上で表彰式が行われる。 冬の日差しに目を細めた大の里が、満面の笑みを浮かべることはなかった。初土俵から所要7場所という史上最速での初賜杯を含む優勝2回、大関昇進も果たして文句なしの最優秀新人賞。受賞者が対象期間中に優勝するのも、大関として土俵に上がるのも史上初という快挙。だが、その喜びより、悔しさを糧に未来を見据えている。 歴代受賞者の表に目を通し、先頭に11月に死去した元横綱北の富士勝昭さんの名前を見つけて「本当に名誉ある賞をいただけて光栄。最初しか、もらえない。うれしいですね」と語りつつ、胸の内を明かした。
自分不在の一番を忘れない。一年納めの九州場所の千秋楽、結びの琴桜と豊昇龍の大関同士の相星決戦を勝ち残りの土俵下で見届けた。近くにいながら、興奮の蚊帳の外。初めての感覚だった。 「あそこに自分がいなくて悔しかった。あの日、お客さんはあの一番を見に来ていて、自分は優勝に関係なかった。千秋楽の悔しさをぶつけるのは来年しかない。一年間、いい思いをしたいのでしっかり稽古します」 選考委員を務めた親方衆や識者は、スピード出世を評価。横綱審議委員会の山内昌之委員長(東大名誉教授)は「大相撲を好角家だけでなく、日本社会全体の市民的な関心と話題に押し上げた功績は大きい」と24歳をたたえた。 大の里は、大銀杏(おおいちょう)お披露目となりそうな来年の意気込みを「上へ」と色紙に記した。「番付だけじゃなく、全ての面で」。心技体を充実させ、頂点を目指す。 ◆大の里泰輝(おおのさと・だいき) 本名は中村泰輝。2000年6月7日生まれ、石川県津幡町出身の24歳。津幡小1年で相撲を始め、卒業後に新潟へ相撲留学。糸魚川市能生中、海洋高(同市)を経て日体大でアマチュア13冠の実績を残し、二所ノ関部屋に入門した。しこ名は昭和初期に活躍した元大関大ノ里にちなんでいる。2023年夏場所、幕下10枚目格付け出しで初土俵。同年秋場所で新十両。今年初場所で新入幕。夏場所で新小結、名古屋場所で新関脇。秋場所後に大関昇進。優勝2回。三賞は殊勲賞2回、技能と敢闘の両賞いずれも3回。得意は突き、押し、右四つ、寄り。192センチ、185キロ。 【選考規定】今年新入幕した力士を対象とし、年間を通じて最も活躍した力士1人を選定する。ただし、前年の入幕者で幕内経験が2場所以内の力士は、翌年も資格を保有する。適任者のいないときは表彰しない。 【選考委員】▽相撲協会審判部=高田川親方(元関脇安芸乃島)藤島親方(元大関武双山)粂川親方(元小結琴稲妻)九重親方(元大関千代大海)▽同広報部=佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)▽学識経験者=山内昌之(横審委員長)▽記者クラブ=三須慶太(スポーツ報知)黒田健司郎(スポーツニッポン)藤田昌央(デイリースポーツ)奥村展也(サンケイスポーツ)高田文太(日刊スポーツ)竹内元(共同通信)宮田大資(時事通信)岸本隆(東京中日スポーツ)志村拓(中日スポーツ)
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