友達いるけどクラスに居場所がない?―でか美ちゃんが経験したうつ病のきっかけ #今つらいあなたへ
加害者にならないために
――SNSは無意識のうちに加害者になることもありますよね? でか美ちゃん: 私は20歳くらいからTwitterを始めたのですが、昔の書き込みを見ると致命的ではないけれど失礼なこと言ってるんです。先日、明石家さんまさんの番組に出る機会があって、過去のSNSを調べたら「さんまってやっぱおもろ」みたいな投稿をしていて(笑)。これは加害ではないですけれど、昔の私が何を書いていたか全然思い出せない。だから何気ない一言で相手を無意識に傷つけて加害者になってしまうことは誰にでも可能性があると思います。 当時の私は、向こう側に一人の人間がいることが想像できてなかった。自分に余裕があって健やかじゃないと、他人の気持ちなんて考えられない。誰かを攻撃したくなったら、自分のことをまず考えてみてほしいですね。 ――似たような状況で苦しむ子どもたちに伝えたいことは? でか美ちゃん: 誹謗中傷を書かれることで惨めな気持ちになりますし、優しい人ほど自分が悪いと思っちゃう。でも絶対にそんなことはないし、ネットに書かれていることなんて鵜呑みにしなくていい。 まずは相談すること自体にストレスがあるけれど、実際に自分の身近にいる親や家族、担任とか別の好きな先生でもいいので、勇気を持って色んな人に言ってほしいですね。身近なところで相談できないなら、しかるべき公的機関を調べれば出てきます。あとはインターネット上の「個人」ではなく「団体」を探してほしい。弱っている所に浸けこんでくる人ってたくさんいます。私が中高生の頃、自分は子どもじゃないという感覚があったけれど、甘い言葉で「なんとかしてあげますよ」って言って来る個人は、皆が思っているよりずっと恐ろしい存在なんです。 【千葉大学教育学部教授 藤川大祐先生に聞きました】 ――でか美ちゃんのように、心の苦しさや誹謗中傷で悩む人はどのようにすればいいのでしょうか。誹謗中傷やいじめ問題に詳しい、千葉大学教育学部教授の藤川大祐先生に聞きました。 藤川大祐先生: でか美ちゃんの場合、苦しい時に助けを求める希求行動をされており、これは重要です。誹謗中傷によって心が苦しくなった場合、一人で我慢して、苦痛を抱えると症状が重くなり回復しにくくなります。そのために、保護者や先生、学校のスクールカウンセラーに早期に相談したり、病院に早めに行ったりすることが重要です。そこでも相談しにくければ、電話やメール相談などの窓口を利用して話を聞いてもらい気持ちを楽にすることも大切です。心を回復させるために、睡眠と食事をしっかりとることも欠かせません。 ――新学期は、子どもの自殺率が上昇してしまいます。これから新学期を迎え心がつらい子どもたちには、早めに学校に相談してほしいと言います。 藤川大祐先生: 逃げればいいとよく言いますが、逃げても学校を休むことに自己嫌悪を持ってしまうことがあります。だから一人で判断せずに誰かを頼ってください。皆さんが抱える悩みは、あなただけの悩みではなく、似たような悩みを持っている人が多いです。あなたの悩みには具体的な対応策があることがかなり多く、早めに相談すれば先生が学校で見守ることができます。 いじめの場合は、先生が目を離さないようにすることもできますし、心の不安は養護教諭と連携し、学校でつらくなったらすぐに早退することや病院につなげることもできます。誰かに話すことで、少し楽にもなりますし、解決策も学校で考えられるので、ぜひ勇気をだして相談してみてください。 === でか美ちゃん 日本の歌手、タレント。三重県松阪市出身。バラエティ番組『有吉反省会』で人気になる。音楽ユニット・APOKALIPPPSのメンバーでもあり、ライブを中心にDJや司会業などを行う。2021年12月、「ぱいぱいでか美」から「でか美ちゃん」に改名。 藤川大祐 千葉大学教育学部教授。専門は教育方法学。メディアリテラシー教育研究の第一人者。内閣府「子供・若者育成支援推進のための有識者会議」構成員や千葉市教育委員などを務め、複数の自治体でいじめ対策組織の委員等を歴任。 ※この動画記事は、笑下村塾「たかまつななチャンネル」とYahoo! JAPANが共同で制作しました