西武がドラフト1位から3位の隅田、佐藤、古賀“大卒3人衆”を1軍キャンプに抜擢した“切羽詰まった事情”とは?
最速150kmの直球を軸にカーブ、スライダー、カットボール、スプリット、ツーシームなど多彩な変化球を操り、大学ナンバーワン投手の肩書きと背番号「16」を背負ってプロの第一歩を踏み出す隅田は、球団を通じてこうコメントした。 「戦力として見ていただいているんだなと感じました。開幕一軍というのが今年の目標のひとつなので、まずはキャンプで自分らしさをアピールできるように頑張りたい」 昨秋の首都大学リーグ開幕戦で右内腹斜筋に肉離れを起こし、ドラフト会議までに登板できなかった佐藤も、8日から行われている新人合同自主トレですでにブルペン入り。最速152kmの直球を武器に、先発ローテーション入りを狙う。 「ここからもう一回頑張ろうと身が引き締まる思いです。いままで活躍されてきた一軍投手の方々に負けないような力強い球を投げてアピールしていきたいですが、ケガだけはしないように、しっかりケアもしていきたいと思います」 昨シーズンの西武投手陣は、チーム防御率3.94、失点589、与四球597とすべてリーグワーストにあえいだ。ただ、投壊状態はいまに始まったものではない。防御率と失点は4年連続でリーグワースト。与四球は2020シーズンもワーストだった。 3年ぶりに延長12回制を復活させる方針が、日本野球機構(NPB)側から示されているなかで、辻監督も「球数が多くなれば不利になる」と言い、こう続ける。 「しっかりと攻め込むということですね。怖がらずにしっかりと投げ込むことで、いいカウントを作れるように練習していくしかないでしょう」 ブルペンを含めた投手陣全体の質を上げていく作業が急務の状況で、勢いを持って突き上げる若い力の存在は、競争心を駆り立てる意味でも絶対に欠かせない。 競争が促される構図は、野手陣にも当てはまる。 リーグ連覇を達成した2018、2019シーズンは「山賊」と命名された打線が、投手陣を補ってあまりある猛威を振るった。ひるがえって昨シーズンはチーム打率.239がリーグ4位タイ、本塁打数112本が4位、得点521が5位だった。 試合数が異なるので一概に比較はできないが、3位で3連覇を逃した2020シーズンからチーム打率はほぼ横ばいで、本塁打数は微増にとどまっている。強肩が売りの古賀、2年目のブランドンをA班に組み入れたことからも、顔ぶれが固定されてきた捕手や内野陣にまず新しい風を吹き込みたいという首脳陣の意思が伝わってくる。