キリンホールディングス 南方社長生出演 「ファンケル」買収で描く成長戦略とは【Bizスクエア】
キリンホールディングス 代表取締役社長COO 南方健志氏: そういう意味では、従来の常識を打ち破った。特に今回の「麦芽100%」は、普通に作ると、結構コクがあって、がっちりした味になる。そこを非常に上手く飲みやすい味に、完成度高く仕上げている。元醸造の人間としても、よくできていると思っている。 この「晴れ風」。「晴れ風ACTION」という面白い取り組みをしている。ビールを買うと、「350ml」1本で、0.5円(50銭分)が自動的に寄付される仕組みだ。それに加えて、QRコードを読むと自分の好きな地方自治体の花火大会や、桜の保全などにも0.5円寄付されるという。 ――本来だったらキリンの取り分だったものが寄付される。利益率が落ちるが、それでもよいのか。 キリンホールディングス 代表取締役社長COO 南方健志氏: それよりお客様に喜んでいただく。特に社会問題に貢献しているということで、満足してもらうことを大事にしたいと思っている。 ――桜の木の保全や花火大会に使われるのは、ビールとの親和性があるからか。 キリンホールディングス 代表取締役社長COO 南方健志氏: 日本の自然・伝統・風物詩とともにビール文化は育ってきた。我々としては何らかの恩返しをしながら、ビールファンを増やして、自身の成長にも繋げたいという思いがある。 ――「商品への共感」。これも支持の一つに繋がっているのか? キリンホールディングス 代表取締役社長COO 南方健志氏: 単に「物の良さ」というだけではなく、コトに対しても貢献していることの方が、良い商品に価値をつけていく上で「非常に大事な取り組み」というのが、我々にとっても大きな発見だった。 ――商品にストーリー性を持たせるということがすごく大事で、そのことがないとなかなか消費者にアピールしない時代になっている。 東京大学名誉教授 伊藤元重氏: そういう「ストーリーマーケティング」は昔からある。ただ、「晴れ風」で、特に大事なのはその社会的価値。単なるブランドバリューではなく、社会的価値を入れたところが、非常に面白い。インパクト投資(財務的なリターンと同時に、社会や環境へのポジティブな影響を意図した投資行動)でも、よくそういうところが非常に大事になってきている。そういう意味で、商品の価値を広げてくれる大きな役割を果たしたのではないか。