なぜ阪神“怪物新人”佐藤輝明は初の「4番・三塁」で近本を「やっぱスゲエ」と驚かす逆転満塁本塁打を放つことができたのか?
阪神のドラフト1位の佐藤輝明(22)が2日、甲子園で無観客で行われた広島戦で、“積極的休養”を取った大山悠輔(26)に代わり、プロ初の「4番・サード」でスタメン出場、5回に逆転満塁本塁打を放ち、チームを7-3の勝利に導いた。阪神は今季4度目の3連勝で試合のなかった2位の巨人とのゲーム差を3.5に広げた。なぜ佐藤はプレッシャーをものともせず劇的な一打を刻めたのか。
チェンジアップ対応の裏にサンズの助言
「4番・サード」 本塁打タイトルを3度獲得し、“ミスタータイガース“と呼ばれた掛布雅之氏に代表される阪神にとって“神聖な場所”が佐藤に特別なパワーを与えたのか。そもそも佐藤が“持っている男”なのか。 1-3の2点ビハインドで迎えた5回無死満塁の大チャンス。 カウント2-2からの5球目だった。広島の野村が投じたのは真ん中低めのボールゾーンに落としてくるチェンジアップ。佐藤は打ちにいって体を前に出されたが、重心は残し、片手でボールを拾った。無観客の甲子園に乾いた快音を残した打球はライトスタンドで弾む。 衝撃の8号逆転グランドスラム。 三塁走者の近本が驚いた顔をしている。 「あんなに飛んでいるんやと正直思った。片手みたいな形で打って、フェン直か、抜けるかと思っていたらあんな飛んでたんで。やっぱスゲエなと思った プロの先輩までをも驚愕させた佐藤はベンチ前で最高の笑顔で恒例のZサイン。 「追い込まれた中で、しっかりとボールについていけた。しかもホームランになって最高の結果だった。前のバッターが出塁してくれたので、なんとか返そうという強い気持ちがホームランになった」 1回一死一、二塁の先制機には野村に徹底して左右の変化球でワイドに揺さぶられ最後はチェンジアップを振って空振りの三振に終わっていた。3回も一死一塁からチェンジアップをひっかけてセカンドゴロ。そこまでの2打席は野村の“佐藤殺しのボール“に翻弄されていた。 だが、3度同じボールではやられなかった。 その裏にはサンズのアドバイスがあったという。 「(サンズから)相手ピッチャーはピンチの場面で落ちる球を投げていきたいと思う。それは逆方向、反対方向を意識することで打てる、というアドバイスをもらった。それもあってチェンジアップ、落ちる球を打つことができた」 異国の野球で成功しているサンズの成功の極意である。