最新技術で海洋ごみに挑む技術者がカッコよさにこだわる理由 目標は「昼は技術者、夜はジャズプレイヤー」
30代半ばでの学業と仕事の両立。思った以上に大変でしたが、それでも諦める気はなかったと話します。 吉田拓司さん: 「家庭や仕事もあるため、睡眠時間を削らなければならない状況が続いたことは苦労しました。今ではきっと難しいと思います。当時はとても大変でしたが、直感で「このタイミングで一生懸命勉強しないと将来、楽しくない人生になりそう」という強い懸念があったため、頑張ることができました」 「博士課程では「日本の陸域から海域へのプラスチック流出量」を現地での観測結果を用いて算定しました。現在は3年間の研究内容がそのまま活かされています。環境省のプロジェクトにも携わり、人脈も広がりました」 大学の研究は、社会に役立つのに埋もれていることも少なくないと思いますが「研究内容を社会実装してビジネスをする」というのが自分の強みになりました。
専門性高い武器を片手に海洋プラスチックごみに立ち向かう
会社に戻ってからは、博士課程の研究内容をベースとして、製品化したRIADによる「研究では実施していなかった河川を対象に川ごみモニタリングの実施」や「年間のプラスチック流出量の算定」など国や自治体のプロジェクトに携わり、海洋ごみ問題解決へ調査を行うことが増えていきました。 いつも吉田さんを突き動かす原動力、それは“カッコよさ”。「もともと『研究の社会実装をしたい』と思っていて、少しずつでも実現できています。RIADを使って社会への貢献度が高くなったことは、“カッコよさ”の1つ」と吉田さんは話します。 吉田拓司さん: 「息子が生まれてからは、少しでもカッコいい姿を見せて『自慢できるパパ』でありたいとも思っています。大学3、4年くらいの時からは夢見ていた社会人の姿もあって『昼間は技術者、夜はジャズプレイヤー』。絶対モテるじゃないですか、今後の目標ですね」 RIADという最新システムを製品化し、海洋プラごみ問題に取り組み、地域に貢献する。将来の海洋プラごみ問題を救う救世主になれる日も遠くないかもしれません。
■吉田拓司さん(40) 東京理科大学卒。土木工学を専攻し、河川の治水や環境を研究。22歳の時、国際学会を経験するため大学院に進学し研究に没頭。その後、大手総合建設コンサルタント八千代エンジニヤリングに入社、日本における陸から海へのプラスチック流出量の算定やプラごみ削減対策などに従事する。博士課程で研究していた「川ごみモニタリング」を製品化した「RIAD」を武器に、国や自治体とタッグを組み活動し海ごみ問題の第一線で活躍中。
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