算数の説明が、どこかおかしい…不定方程式に「解があるとは限らない」という「数学の本質」を突いた、あまりに鋭すぎる「小学生の疑問」
不定方程式の一般的な定理
次のような不定方程式を考えます。|a|は「aの絶対値」という意味です。 ---------- ax+by=c(a, b, cは整数とする) この方程式が整数解を持つための必要十分条件は、|c|が|a|と|b|の最大公約数で割り切れることである。 ---------- これに照らせば、先ほどの小学校の問題はa=3, b=2, c=30なので整数解を持ちます。こうして、先ほど表で求めたように整数解が見つかることになるのです。 子どもたちに説明するのは少しシンドイですかね。 係数|a|, |b|の最大公約数で|c|が割り切れない場合は、整数解がありません。たとえば、ドーナツ1箱4個入りと8個入りの箱があり、合計で30個買うとしたら、その方程式は4x+8y=30となりますが、この場合には整数解は存在しません。 また、正係数の不定方程式ax+by=cを考えたとき、その係数a, bが互いに素であれば常に整数解を持ちます。 *以下の続きは、7月3日(水)公開予定です。 ---------- 学びなおし! 数学 代数・解析編 なっとくする数学キーワード29 ロングセラー『なっとくする数学記号』の著者にして、数学教育を知り尽くした専門家だから書けた、「学びなおし」の決定版! ----------
黒木 哲徳(福井大学名誉教授)