「5/7 ÷ 3/5 = 5/7 × 5/3」…なぜ分数の割り算は分子と分母を入れ替えた掛け算に直せるか説明できますか
食塩水の濃度や往復の平均速度など、仕事などでちょっとした算数の知識が問われる場面に出くわして、ドキッとしたことはないだろうか。「昔は解けたのに……」、そう思うのに解けない。そんな大人たちは本連載で今一度、算数を基礎から学び直してみてはどうだろう。 長年、算数・数学教育に携わってきた桜美林大学名誉教授・芳沢光雄氏の新刊『大人のための算数力講義』(講談社+α新書)より抜粋して、「算数の重要な考え方」をお届けする。
分数同士の掛け算
分数同士の掛け算・割り算を学ぼう。 具体例で説明して一般的な公式を理解してもらう方法もあるが、ここでは一般論としての説明を試みる。
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まず が成り立つ。ちなみに上の計算で、 ・分数の導入の最初で述べた約束から、最初の等号は成り立つ。 ・結合法則が成り立つから、2番目の等号は成り立つ。 ・交換法則が成り立つから、3番目の等号は成り立つ。 ・分数の導入の最初で述べた約束から、4番目の等号は成り立つ。 ・約分を用いたことから、最後の等号は成り立つ。
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となるからである。ちなみにこの計算で、 ・最初の等号は、分数の導入の最初で述べた約束を用いている。 ・二つ目の等号は、結合法則を用いている。 ・三つ目の等号は、[1/aをb個加えた固まり]をd個加えれば、それは[1/aをb×d個加えた固まり]になるからである。 ・四つ目の等号は、交換法則を用いている。 ・五つ目の等号は、(*)を用いている。 ・最後の等号は、交換法則を用いている。 次に、割り算に関しては、 a、b、c、dを自然数とするとき、(III)が成り立つ。