「多嚢胞性卵巣症候群」の女性が不妊治療4年を経て授かった命「令和の子育て」夫婦の現実と本音
── その後、体外受精を経験されました。 西さん:初めてチャレンジしたのは28歳のころです。24歳で不妊治療を始めて2年くらい経ったころ、成果も出ないし、ちょっと精神的に苦しくなって、いったん治療をお休みしたんですね。ちょうど起業したばかりで、仕事もすごく忙しい時期でした。 ── 不妊治療と起業が重なる状況はとても大変そうです。旦那さんも心配されたのでは? 西さん:会社を立ち上げたことは夫には内緒にしていたんです。うちは夫もIT起業の経営者なのですが、私の会社は1年目の売上がゼロだったので、バカにされるのが嫌で(笑)。成果を出してから報告しようと思っていたので、2年目に売り上げが出るようになってから、「じつは…」と伝えました。
■「妊娠までトータル4年かかりました」陣痛から27時間の出産 ── 起業家同士として、夫婦でもライバル心があるのでしょうか(笑)。 西さん:ライバル心は、いまでもありますよ(笑)。打ち明けたのは、売上げが立つようになったからというのもありますが、経営のアドバイスがほしかったから。いまでは、いろいろと意見やアドバイスをもらっています。 ── その後、不妊治療を再開されています。 西さん:やはり子どもをあきらめられず、1年後に不妊治療を再開し、凍結胚移植による体外受精を何度か行いました。当時はまだ金額が高く、1度の採卵には50万円ほどかかりましたね。1年かけて何度かトライした結果、無事に子どもを授かることができたのですが、あのときの喜びはいまでも忘れられません。2年間のお休みをはさんでいるので、不妊治療の期間はトータルで3~4年くらいでした。出産は陣痛が始まってから、27時間もかかりました。なかなか生まれなかったので、子宮口を開くためにバルーンを入れたのですが、吐き気がして気持ち悪くなったことを覚えています。
── 出産された2022年は、ちょうど起業5年目でビジネスが軌道に乗り始めた時期でしたね。かなりお忙しかったのでは? 西さん:そうでしたね。病院のWi-Fiがほぼ使えない状態だったので、すぐにポケットWi-Fiを契約し、出産ギリギリまでweb会議をしていました。