パートも収入アップ!第3の賃上げから正社員並み待遇まで家計にうれしい企業の取り組み事例
パート待遇を正社員と同等にした大手リテール企業の事例
大手リテール企業であるイオンが、パート従業員の待遇を同じ業務の正社員と同等にする制度を2023年に始めた。2024年度からグループ40社で順次導入を進めている。この制度新設により恩恵を受けたパート従業員のリアルな声を紹介する。 イオンリテール株式会社 人事総務本部 人事部 マネージャーの泉行信氏は、本制度導入の背景について次のように話す。 「我々にとって、地域密着経営の主役として現場で活躍いただいているパート社員の戦力化は事業戦略の要です。これまでは同じ店マネージャーであっても、パート社員と正社員とでは処遇に差がありました。パート社員の皆さんに上位職を目指し、これまで以上に活躍してもらうにはどうすべきかを本気で考え、それに見合う制度を整備し、担う役割が同じであれば処遇も同じにすべきという同一労働同一賃金の考え方を導入しました」 具体的な待遇内容とは? 「パートであっても一定の上位職(CG資格)は、正社員の基本給を時間換算して時給を設定しますので、働く時間が同じであれば年収は正社員と変わりません。また子育て支援金などの各種手当金や、育児休職制度などの福利厚生面も同じです。さらには退職金についても『前払い』という形で正社員同等の金額を支払います。今後は正社員でなければいけないなどといった固定概念をなくし、地域密着経営の主役としてパート社員の店リーダー、マネージャーを積極的に登用していきます」 正社員と同等の待遇を受けることとなった主婦のパート従業員の声は次の通り。 「物価の上昇に伴い、やはり家計や賃金について気になっている。賃金を上げる手段が最低賃金の上昇だけでなく、頑張ってスキルを磨けば給料も上がる仕組みがあることは助かる」 「パート社員として社員より少し労働時間は短く働くこともできる。それでも時間当たりでは同じ給料になった。家計としてはもちろん、家事・子育ての時間に充てることができて助かる」 「社員と同じようにミーティングにも参加するようになった。会社の方針や考え方など情報は社員と同じものが見えるようになった。最初は慣れずにむずかしいと思うこともあったが、それだけにプライドを持って働くことができるようになった」 ただ給与が正社員並みになったというメリットだけでなく、仕事内容の変化からより成長意欲がわいてくる可能性もあるようだ。 2つの事例より、パート従業員といえども、何らかの形での賃上げは従業員にとっても会社にとっても意義のあることだとわかった。今後、さらにパート従業員が働きやすい環境が作られるのを期待したい。 文/石原亜香利
@DIME編集部