混戦模様の有馬記念…2020年の競馬界は”女傑の時代”だったが混乱の1年を締めくくるのは牝馬か牡馬か
中央競馬の1年を締めくくる「第65回有馬記念」(2500メートル芝、G1)は27日、中山競馬場で午後3時25分にゲートが開く。ジャパンカップで名勝負を演じたアーモンドアイ、コントレイル、デアリングタクトの”ビッグ3”が不在の有馬は大混戦模様。前日売りの最終単勝オッズもクリストフ・ルメール騎手が騎乗のフィエールマン(牡5)が3.7倍で1番人気。続いてファン投票1位のクロノジェネシス(牝4)が3.8倍の2番人気、3番人気がラッキーライラック(牝5)の6.5倍と割れた。2020年は牝馬が活躍した“女傑の時代”ではあったが、過去10年の有馬記念で牝馬が勝ったのは2度だけ。制するのは牝馬か、牡馬か。
“そこそこ荒れる有馬”過去10年馬連平均配当は3504円
師走を知らせる有馬記念がやって来た。新型コロナ禍という大惨事に見舞われながらも開催が続行された。2020年の競馬界は、歴史的な偉業が続き、レジャー産業としての競馬の力をあらためて感じさせる1年にもなった。集大成の有馬でどんなドラマが待っているのだろうか。 有馬は「そこそこ荒れるレース」で知られる。ここ10年で1番人気の馬が勝ったのは5度。馬連の平均配当は3504円で3連単の平均配当は51616円となっている。馬連で万馬券が出たのは1度だけだ。 混戦の有馬が今年はさらに大混戦模様である。 どの馬が勝つかを占う上で、今年1年を振り返ると、目立ったのが牝馬の活躍だ。今年行われたG1競走の中で2歳及び3歳限定、ダート戦をのぞいた芝の古馬混合戦をみると、9レース中、実に8レースを牝馬が制している。ちなみに牡馬フィエールマンが勝った天皇賞・春に出走した牝馬は単勝13番人気で340キロのけなげなメロディーレーンただ1頭だけで、参考外ともいえる。 春は高松宮記念から始まり、大阪杯、安田記念、宝塚記念と牝馬が勝利。秋に入っても、スプリンターズステークス、天皇賞・秋、マイルチャンピオンシップ、ジャパンカップと、その流れは続いた。グレード制が導入された1984年以降、牡牝混合G1で牝馬が年間8勝挙げたのは初めてのことだ。 もっとも“女傑の時代”はいまに始まったことではない。 ウオッカ、ダイワスカーレットからブエナビスタ、ジェンティルドンナを経て、昨年の有馬記念を勝ったリスグラシューへ。今年のジャパンカップで芝G19勝の大記録を打ち立て引退したアーモンドアイに代表されるように隆盛期に入ったと言っていい。 1年の集大成となる有馬にもその流れが押し寄せる。 牝馬優勢の声が圧倒的だ。ファン投票でもクロノジェネシスとラッキーライラックが1、2位を分け合った。前売りの単勝オッズも5枠9番のクロノジェネシスが2番人気、ラッキーライラックが3番人気となっている。クロノジェネシスは、力のいる馬場となった宝塚記念を圧勝。天皇賞・秋ではスタート後の不利をハネ返し、勝ったアーモンドアイから0秒1差の3着と力を示した。馬場状態が悪くなればチャンスが巡ってくる。