日本の食文化と選りすぐりのお茶 シェフの感性がちりばめられた 唯一無二のデザート表現「茶湊流水」
◆松雪園 田口雅士 一番茶焙じ茶
コースへの誘いとして、まずは、お茶を一服。田中さんがそのときどきに特別な思い入れを持つお茶や、品評会で一等一席の評価を得た高級茶などが供されます。5月には、田中さんが生産者の元を訪ねて一緒に火入れした、岐阜県東白川村「松雪園」のほうじ茶を。 東白川村のヒノキの台にのせて、その香りとともに。ほんのりとした香ばしさと清々しさが体に染み渡ります。
◆立夏、茶ノ蔵 森本健二 越原
立夏をイメージした柏餅を、岐阜県東白川村「茶ノ蔵」の煎茶とともに。「茶ノ蔵」の森本さんの紹介された赤みその五平餅に想を得て、柏餅の餡には赤味噌を使い、ベルガモットの香りをまとわせて。餡の塩気とさわやかさに、お茶のすっきりした味わいと苦みがマッチします。
◆八木下農園 発酵西内小夏、山科茶舗・新茶粟田早生 高梨茶園・黒文字新芽 アスパラガス
神奈川県「八木下農園」の石内小夏とバラを発酵させて仕上げた無加糖のアイスクリームに合わせたのは、西内小夏のジュレと、みりんでコンポートにした西内小夏の皮、昆布茶の泡のソース、黒文字の新芽。柑橘の清々しい香りが力強く押し寄せ、豊かな余韻をもたらします。 黒文字の新芽のシャープな香りと苦みがアクセント。同じく黒文字の新芽とアスパラガスを加えた今年出来立ての新茶は、福岡県朝倉市「山科茶舗」から。 「日本で一番早い新茶になります。ちょっと鰹っぽいニュアンスがあるので、アスパラガスの旨みを合わせました。柑橘には、日本の食材が持つ旨みがよく合うと思います。アイスクリームにはもうひとつ香りがほしくて、フレッシュなバラの花びらを石内小夏と一緒に発酵させました」と、田中さん。
◆八木下農園・美生柑 甘夏 発酵レモン 発酵マンゴー、千代ノ園・いずみ コーヒー 月桃 ライチ
季節の素材を使った水羊羹は、シグナチャーメニューともいうべきひと皿。グレープフルーツにも似た美生柑のゼリー寄せと、発酵させたレモンの香りを移したゼリー、発酵させたマンゴーを合わせた白餡を3層に。白餡以外は無加糖で、柑橘の清々しい酸味とみずみずしさ、マンゴーの厚みある果実味が白餡のやさしさと繊細に重なり合い、つぶつぶとした美生柑の食感も魅力的です。 美生柑の苦みとよく合う福岡県八女市「千代乃園」の和紅茶には、マンゴーと相性のよいコーヒーと、月桃、3年熟成させたライチのシロップを加えて。さまざまな香りが重なり合って引き出される、ふくよかなハーモニーが楽しめます。