二重苦の自動車株、円高に中国景気不安が追い打ち-価格競争激化も
(ブルームバーグ): 日本の自動車株がさらなる苦境に直面しそうだ。為替の円高で収益期待が剥落する中で、重要市場である中国の景気減速感が強まってきた。内需低迷を受けた中国メーカーの輸出攻勢が世界的な価格競争の激化につながると警戒する声もある。
東証株価指数(TOPIX)の輸送用機器指数は、米国の景気懸念などを背景に急速な円高が進んだ7月末以降に11%下落し、TOPIXの約6%安をアンダーパフォームしている。19日時点で6カ月連続で下げており、月間の続落期間としてブルームバーグのデータを確認できる2005年以降の最長を更新する勢いだ。
世界の大手メーカーと同様、トヨタ自動車と日産自動車、ホンダの中国販売台数は前年割れが続いている。3社にとって中国は23年の世界販売の約2-3割を占めた重要市場で、景気失速の影響は大きい。中秋節休暇の消費が底堅さを見せるなど足元では心強いデータも見られたが、経済活動が軒並み鈍化し、景気が長期低迷に陥ることへの懸念は払拭(ふっしょく)できていない。
中国経済、8月に失速-生産・消費・投資不調で成長目標達成に暗雲
大和証券の坪井裕豪チーフストラテジストは、中国景気の悪化が止まらずデフレも近づく状況で、日本企業の業績懸念につながっていると指摘する。自動車銘柄の株価収益率(PER)は下がっているものの、株価は軟調で「セクター全体として投資資金が回りにくくなっている」と述べた。
米国の金融当局が4年半ぶりとなる利下げに踏み切り、米国の景気後退懸念が和らぐ可能性が高まったことは国内メーカーにとって好材料だ。一方で、中国が輸出頼みの経済成長モデルに移行する可能性が、自動車セクターのファンダメンタルズを悪化させる新たな要因として意識されつつある。
りそなアセットマネジメントの下出衛チーフストラテジストは、内需減速に伴い中国メーカーが「安値攻勢を仕掛ければ、東南アジアなどが激戦区になるだろう」とみる。