東京都「非常に異常な増え方」 2日連続2000人超に専門家―コロナ分科会
政府の新型コロナウイルス対策分科会(会長:尾身茂氏)が8日、開かれた。その後、分科会の構成員で医療の専門家である東北大学の押谷仁教授が記者会見し、東京都で今月7日、8日と2日続けて新規感染者数が2000人を超えている感染状況について「疫学的に見ると非常に異常な増え方をしている。ベースラインが1000未満だったものが10日以内に2000を超えることは普通に考えると考えにくい」と語った。 【会見全編】コロナ分科会後に西村大臣と尾身会長が会見
押谷教授は、「急速に報告日ベースで感染者が増えている。特に大晦日の日に東京が急激に増えた。この状況をどう考えるかきょうの分科会でも議論になった」と説明。「(クリスマスなど)色んな年末のイベントで増えていることも1つの要因としてはあると思う」としつつも、「増え方が異常」だと語った。 大阪府の感染者の増加についても「1月5日、6日、昨日とかなり急速に増えている。それもちょっと不自然な増え方だ」と述べた。 押谷教授は、東京・大阪に共通する特徴として、18~39歳の新規感染者数が増えている点を指摘。「かなり若い層が増えている。これをどういうふうに解釈するのか、まだわれわれの中でも色んな議論をしているところですぐに結論を出せるものではない」とした。
増加要因となった“2つの可能性”
押谷教授は「精査しないといけない」「今後の動向を見極めていく必要がある」としながら、増加要因として2つの可能性に触れた。 1つ目は、連休中の検査の報告がまとまって報告された可能性があるというもの。押谷教授は「年末年始の休みで、その間に検査されていたものが(休み明けに)報告されるとか、そういう影響は1つあったのかと思われる」と説明した。 2つ目は、感染している可能性(事前確率)が高い人が検査を受けたかもしれないというもの。 押谷教授は「若い人たちがなかなか検査を受けてくれないとかそういうことがあったが、年末から年始にかけて起きたことを振り返ると、12月27日に政治家の方が亡くなった。比較的若い方が急に亡くなった。同時に、自宅療養とか自宅で亡くなっている人たちがかなり増えた、という報道がかなり広くなされた。そこで特にいままで(検査を)受けてくれなかった事前確率が高い人たちが検査を受けたことによってこういうことが起きている可能性がある」話した。
東京と大阪でも「状況違う」
押谷教授は、年末年始にかけての感染者数の増加を「不規則な上昇」と表現する。 「大阪と東京、愛知の状況を比べると、東京はこういう不規則な状況が起こる前にずっと上昇傾向にあった。大阪は、いったんは下降傾向にあった。愛知は高止まりと言うか少し平たんになっていた。そこから不規則な上昇がみられている」と愛知を含めた3地域の特徴を整理。 そのうえで、検査の陽性率が東京は14%を上回る高水準なのに対し大阪は「まだ低い」とし、「東京と大阪の状況はかなり違うだろうといま判断している。もう少し状況をきちんと精査して、データを精査したうえで、なぜこういうことが起きているのかをみなければならない」と語った。