障害者手帳、障害年金だけじゃない! 精神疾患・発達障害の人のための「経済的支援」制度はこんなにあった
「収入を増やす」「支出を減らす」の両面から支援
ではここで、精神疾患・発達障害の当事者(本人、家族)が使える経済的支援にはどのようなものがあるのか、その全体像をご説明しておきましょう。 経済的支援は「国」「自治体(都道府県、市町村)」「事業者(企業など)」が実施しており、これらは大きく「収入を増やす」支援と「支出を減らす」支援の、2つに分けられます。 「収入を増やす」支援の代表的なものが、障害年金です。年金というと「高齢者がもらうもの」というイメージがありますが、障害年金は早ければ20歳から支給が始まります。2ヵ月ごとにまとまった金額がもらえる年金は、生活の重要な柱となり得ます。 児童手当や障害児福祉手当など、国や自治体から支給される手当も「増やす」支援の一つです。障害の有無に関係なくもらえる手当と、障害の当事者がもらえる手当があり、必要な条件を満たしていれば複数の手当を受給することも可能です。 そのほか「親なき後」に備えて任意で加入する、障害者扶養共済(しょうがい共済)という制度もあります。保護者が月々掛金を払い、自分に万一のことがあった場合、本人に年金が支給されます。年金は終身で、毎月一定額がもらえます。 一方、「支出を減らす」支援には、国や自治体による医療費助成があります。すべての人が対象となる高額療養費制度や子ども医療費助成制度、障害のある人が対象となる自立支援医療(精神通院)や福祉医療がこれに含まれます。こうした助成を利用すれば、医療費の自己負担分を減らすことができます。 また障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)は、それ自体でお金がもらえるわけではありませんが、取得によりさまざまな支払いを減らせることがあります。例えば、自治体や事業者によっては交通機関の運賃、施設利用料、通信費などが減免(減額または免除)になります。所得控除をはじめとする、税金の減免も受けられます。 このように経済的支援にはさまざまなものがありますが、注意したいのはいずれも「申請しなければもらえない」という、申請主義をとっている点です。つまり、本人や家族がみずから「ほしい」と申し出ないかぎり、手続きは行われず、支援も受けられません。何もしなくても自動的にもらえるわけではなく、まず手を挙げる必要があるのです。