正念場のW杯最終予選に追い風?! 森保Jは司令塔とエースFWを欠く首位のサウジに勝てるのか…カギを握る先取点
グループリーグで勝利したメキシコにリベンジされた3位決定戦でも、先発のうち10人が同じ顔ぶれだった。システムも4-2-3-1で変わらない。これでは分析してください、と言っているようなものだ。違いを作れるMF三笘薫(24・ユニオン・サンジロワーズ)が投入されたのは3点目を奪われた直後。一矢を報いたのも三笘だった。 東京五輪と同じ轍を、サウジアラビア戦で踏みかねない状況にある。 オンラインで行われた公式会見。サウジアラビア戦の先発を問われた森保監督は、勝っているチームはいじらない、なるサッカーの格言を踏襲すると示唆した。 「最終的には今日の練習を見た上で決めるが、基本的に大きく変える必要はないと思っている。勝っていたとしても変えないといけない、変えた方がいいという部分は変えていくが、基本的には中国戦の選手たちをベースに考えていきたい」 確かに日本は4連勝をマークし、最終予選序盤で2敗を喫した出遅れを挽回した。しかし、DF長友佑都(35・FC東京)とMF南野拓実(27・リバプール)が縦関係を組む左サイドが機能不全に陥るなど、さまざまな問題を抱えている。 何よりも4連勝を導いた4-3-3システムも機能しているとは言い難い。中盤の「3」にボランチの選手を配置しているため、どうしても重心が後方に傾く。できるだけ多くの得点が望まれた最下位ベトナム代表から1ゴールしか奪えず、前半開始早々に運よく獲得したPKで先制した中国戦でも、追加点は後半の1ゴールにとどまった。 7試合であげた日本の総得点7はオーストラリアの13だけでなく、サウジアラビアの10の後塵も拝する。左サイドを担う長友と南野だけでなく、インサイドハーフを託される守田英正(26・サンタ・クララ)と田中碧(23・フォルトゥナ・デュッセルドルフ)が試行錯誤している姿を、当然ながらサウジアラビアも把握・分析している。 ロシアワールドカップでモロッコ代表を率い、スペイン代表と引き分ける奮闘を導いたフランス出身のルナール監督は、公式会見で日本を「FIFAランキングでアジア2位のチーム。大きなリスペクトを抱いている」と位置づけた上でこんな言葉を残した。 「現状はもしかすると、日本の本当の状態を反映していないのかもしれない。それも念頭に置いて明日の試合に向けた準備をしっかりとしていきたい」 オマーン代表を1-0で下した第7戦を欠場したサウジアラビアのキャプテン、司令塔サルマン・アル・ファラジが来日メンバーに名を連ねなかった。最終予選でチームトップタイの3ゴールをあげているFWサレー・アル・シェフリとともに、怪我が理由で外れたと明かしたルナール監督に、しかし、悲壮感はなかった。 「アル・ファラジはアジアで最も優れた選手の一人で、もちろん難しい事態だが、ワールドカップの舞台で戦うには、誰が欠けても一貫して強いプレーをしなければならない。そうしたことも含めて、これもサッカーだと認識している」