〈年金月18万円・退職金2,000万円〉図書館の本を読みふけり、ネットサーフィンしかしていない定年退職後だったが...68歳元サラリーマンがいとも簡単に「老後破産」した理由【FPが解説】
高齢者の家計が破綻する「老後破産」。現役時代のように働くことができない以上、家計の変化には細心の注意を払うべきですが、老後破産に陥る原因を知っておくことも重要です。老後のマネープランが崩れてしまう原因とは? 本記事では、藤崎隆さん(仮名/68歳)の事例とともに、老後破産の実態をFP相談ねっと・認定FPの小川洋平氏が解説します。 【早見表】年金に頼らず「夫婦で100歳まで生きる」ための貯蓄額
コミュニケーションが苦手で内勤だった独身男性のリタイア生活
藤崎隆さん(仮名/68歳)は年金生活を送る独身男性です。藤崎さんは60歳で証券会社を退職後、65歳まで関連会社で勤務しリタイアしました。あまり人付き合いが得意でなく、営業に配属されましたがコミュニケーションが苦手だったために内勤に異動になり、65歳まで務めていました。退職金は2,000万円を受け取ることができました。 現役のころからSNSで匿名アカウント株式やFXのトレードの成果や相場の分析を公表するなどして、フォロワーからの反応を見るのを楽しみにしていました。時にはほかのアカウントに対して否定的なコメントを残したり、やりとりがヒートアップして罵倒し合ったりするような場面もしばしばありました。 そんな藤崎さんのリタイア後の楽しみは、やはり投資。図書館へ通いつめ、有名なトレーダーの本を借りて勉強し、毎日株価や為替のチャートと睨めっこ。トレードを行って、SNSにその実績を投稿するのが日課でした。チャート分析を得意とし、株式投資もFXもまずまずの実績で老後も順調に資産を増やし、リタイア時には3,000万円もの資産を手にしていたのでした。退職金と合わせると5,000万円になります。 そんなある日、藤崎さんはSNSのフォロワーと会うことになりました。藤崎さんのSNSアカウントは短期トレードを行う投資家が多くフォローしていました。そのなかで、いつもコメントを残してくれるフォロワーがいて、そのフォロワーと仲良くなり直接会うことになったのでした。 えっ、女性? 初めて顔を合わせたとき、藤崎さんは驚きました。そのフォロワーは女性だったのです。SNS上でやりとりをするうえで、何度か別のフォロワーとも直接会ったことがありましたが、女性が苦手な藤崎さんは基本的に女性のフォロワーとは直接会わないと決めていたのです。もともとコミュニケーションが苦手ですが、女性を前にすると、ますますなにを話せばよいかわからず、気まずい空気になるのが嫌だからです。 そのフォロワーの年齢は30代。藤崎さんにとっては、娘のような年齢の女性です。最初はなかなか緊張のあまりなかなか話せなかった藤崎さんですが、女性が大変聞き上手だったため、トレードの話でだんだんと盛り上がることができました。得意のトレードの知識を興味深く聴いてくれるその女性に、藤崎さんは次第に好意を持つように。昔から自分の話を楽しそうに聴いてくれる人など皆無でしたが、自分よりも30歳以上も年下の女性であったこともあり、これまでの人生で経験したことのない喜びだったのです。 藤崎さんのSNSアカウントも、それまではトレードのことばかりでしたが彼女と一緒に行ったお店で2人分の料理が映った写真を投稿するようになり、これまでとは違った投稿が増えてきたのでした。 しかし、そんな幸せの絶頂にいる藤崎さんを絶望のどん底に叩き落とす事件が起きてしまいます。
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