40~50代よりも「若手」の昇給スピードが速い? 賃上げ時代に「中高年」が昇給できない残酷な理由
これまでの日本企業では一般的な賃金カーブは若年時に給料が低く、中高年になるにつれて大きく上昇するのが一般的でした。しかし近年は、最低賃金の大幅な上昇や人手不足の影響もあり、若年層の給料がどんどん上昇しています。 本記事では40~50代よりも20代の若手の昇給スピードが速い原因と、それに伴い中高年が昇給しにくくなる理由について解説します。 ▼会社員で「年収1000万円」以上の割合は? 大企業ほど高年収を目指せる?
若手のほうが賃金上昇率が高くなっている
2024年1月に厚生労働省が公表した「賃金構造基本統計調査」によると、大学卒の20~30代前半の労働者の賃金上昇率は1.7~2.8%となっていますが、40代後半~50代前半の賃金上昇率は-0.2%~0.3%となっています。これは毎年10月に改定される最低賃金の上昇や、人手不足による若年者の採用難が原因だと考えられます。 また東京商工会議所の調査によると、2024年新卒者の採用計画人数に対する充足率が50%未満と回答した企業が41.5%にもなっており、新卒採用が難しくなっていることが分かります。
上がり続ける初任給と新入社員の意識の変化
東京商工会議所の「新入社員意識調査」によると、2024年度の新入社員が就職先の会社を決める際に重視した項目のトップは処遇面(初任給、賃金、賞与、手当など)となっており、3位も福利厚生となっています。 また、産労総合研究所の「決定初任給調査」によると、大卒者の初任給の増加率は2023年が2.84%、2024年は3.85%です。初任給引き上げの理由は「人材を確保するため」が最も多い結果となっており、新卒者の採用確保のために初任給が大きく引き上げられていることが分かります。 また前述の新入社員の意識調査によると、「就職先の会社でいつまで働きたいか?」の質問に対して「定年まで」と回答した割合は21.1%と10年前よりも14%減少しており、「チャンスがあれば転職」を考えている割合も26.4%と10年前より14.5%も増加しています。 このような背景から、新入社員の初任給だけでなく、若手社員の給料もこれまで以上に昇給させないと転職されてしまう可能性があるため、結果的に若手社員の昇給スピードは今後も速くなると考えられます。