【40代・50代は知っておきたい】持病がある、要介護…高齢の親を災害から護るには?
薬のストックは自己判断は禁物! 主治医に必ず相談を
親が持病を抱えていて薬の服用が欠かせない場合、薬のストックは考えておかなければならない問題です。 「飲み忘れたり余っていた薬をストックにするのは絶対NG。薬はその時々の症状に合ったものを、その時の体重なども考慮して処方されるものです。 病気自体は変わらないのだから前のものを飲んでもいいだろう、と適当に服用するのはとても危険です。薬をストックしておきたい場合は、どのくらいの量がいいのかなど必ず主治医に相談してからにしましょう」
災害時も使えるのは アナログな「紙」のお薬手帳
親がどんな薬をどのくらい飲んでいるのか。今はお薬手帳もアプリが増えているけれど、「災害時を考えるとアプリだけではリスクが高いです」と辻さん。 「大きな災害が起きるとスマホがネット接続できなくなるというのは、東日本大震災で経験した人も多いのではないでしょうか? 時間がたってつながるようになっても、アプリのサーバーがダウンしていたり、薬局のコンピューターに不具合が出ていたりしたら使えません。スマホの充電がなくなっても見られません。アプリでの管理は便利である一方で、災害時にはリスクが伴います。 お薬手帳の内容が確認できないと、例えば高血圧の薬を飲んでいたということまではわかっても、何という名前の薬で何mgのものなのかまでわからないと、薬局側も対応できません。血圧の薬だって一般的なものだけで10種類以上あるのです。 だから私は、昔ながらの紙のお薬手帳を持つことをおすすめしています。アプリと紙のお薬手帳を併用できるところもあるので、今アプリで管理をしている場合は、かかりつけの薬局に紙の手帳も持てるか確認してみましょう。 また、親が今現在どういう薬を飲んでいるのか、1カ月に1回は確認して共有しておくことも大切です。薬が処方される際に、薬の説明書きを同封してくれると思うので、それをコピーして自分も一部持っておき、防災リュックなどに入れておくのもいいですね。 便利は不便と隣り合わせ。どちらに転んでも何とかなるような態勢をとっておくのがいいと思います」
【教えてくれたのは】 辻 直美さん 国際災害レスキューナース。一般社団法人育母塾代表理事。1991年、看護師免許取得。1993年「国境なき医師団」の活動で上海に赴任。帰国後、阪神・淡路大震災で実家が全壊したのを機に災害医療に目覚める。以降、国際緊急援助隊医療チーム(JMTDR)において国内外の被災地で活動。現在はフリーランスのナースとして講演、防災教育、被災地支援活動を行う。『レスキューナースが教えるプチプラ防災』(扶桑社)ほか、防災関連の著書多数。 イラスト/ミヤウチミホ 取材・文/遊佐信子