【初詣、どこ行く?】巳年に参拝したい! 財運と健康運をもたらす蛇の神社5選
滝がお金と心身を清める「白蛇辨財天」(栃木県真岡市)
栃木県真岡(もおか)市の白蛇辨財天(はくじゃべんざいてん)は、第3セクター・真岡鉄道の久下田(くげた)駅から徒歩8分ほど。鳥居をくぐると一瞬ドキっとする。神使の白蛇が参道の両側でとぐろを巻いて、境内を守っているのだ。 創建はおよそ500年前、弁才天信仰の聖地である厳島神社(広島県安芸市)の分霊を招き、池のほとりに祀った。水と緑が豊かな境内には、かつて白蛇が住んでいたという。 拝殿の後ろには「銭洗いの滝」があり、流れ出る御神水で紙幣や硬貨を洗うと金運が上昇、健康運までよくなるといわれている。蛇をあしらったストラップタイプのお守り、絵馬や御朱印など授与品も豊富だ。 真岡鉄道が週末に運行する「SLもおか」は、鉄道ファンならずとも心が躍る。沿線には陶器の町として知られる益子があり、参拝の折には足を延ばして行楽を楽しみたい。
白蛇が住む町の象徴「岩國白蛇神社」(山口県岩国市)
水神信仰と白蛇は関係が深いものの、実際に白蛇が生息していたと確認できる所はわずかだ。山口県東端には突然変異ではない野生種の白蛇が住み、天然記念物に指定されている。江戸時代には、岩国領主の米蔵でネズミの番をしていたそうだ。 弁財天と同一視された白蛇は、岩国市内のあちこちで祠(ほこら)やお堂に祀られている。岩國白蛇(しろへび)神社は地域の信仰に基づき、広島湾の向こうの宮島から厳島神社の祭神を勧請(かんじょう)して、2012年に創建された。白蛇自体は神ではなく、その使いである。 白蛇は市内の飼育場で大切に保護され、観光資源にもなっている。神社の隣の「白蛇資料館」や、名所・錦帯橋に程近い「岩国シロヘビの館」などの観覧施設があるので、立ち寄っておきたい。
参道から白蛇モチーフが出迎える「蛇窪神社」(東京都品川区)
東京にも白蛇を祀る神社がある。品川区二葉はかつての地名を蛇窪(へびくぼ)といい、鎮守の天祖神社は今も蛇窪神社の通称で親しまれている。起源は14世紀、長い日照りで作物が枯れかけた際、恵みの雨をもたらした神に感謝を込めて創建したと伝わる。 境内の水場にはかつて白蛇が住んでいたが、ある時、水が枯れて住み家を追われたという。白蛇から「住み家に戻りたい」と夢枕で懇願された村人が新たに池を掘り、そばには弁財天を祀った。これが本殿裏手に残る白蛇辨財天社で、現在まで財運・良縁・病気平癒などの御神徳で信仰を集めてきた。 蛇窪神社はお守りの種類も豊富だが、60日に一度訪れる己巳(つちのとみ)の縁日には、岩国の白蛇の脱け柄が入った特別なお守りが授与される。またこの日は、参道の商店街でも白蛇にちなんだグルメやイベントが楽しめる。蛇窪の町を散策してご縁を深めては。 文=渋谷 申博、ニッポンドットコム編集部
【Profile】
渋谷 申博 宗教史研究家。1960年東京都生まれ。早稲田大学卒業。日本の神道・仏教・伝承・風習などに関わる執筆活動のかたわら、全国の聖地巡りに取り組む。『参拝したくなる! 日本の神様と神社の教科書』(ナツメ社)、『全国名所図会めぐり 航空写真と読み解く歴史絵巻』(G.B.)ほか著書多数。