シニア世代の「ディスコダンス」で体も心も若返ると医師も太鼓判 長野では市主催のパーティー
10月に長野市で、60歳以上の市民を対象に市主催のディスコパーティーが開かれたそうだ。初開催は2019年。その後コロナで中断していたが昨年4年ぶりに復活。3回目となる今回も、華やかな衣装に身を包んだシニアが、輝くミラーボールの下で往年のディスコミュージックに合わせて踊り、大層盛り上がったという。 「旅行」は健康寿命を延ばし、心臓の健康維持にも役立つ 筆者もやってみたい。初心者でも受け入れてくれるところはないかと探し、見つけたのが60代女性を対象にしたダンス教室「らくリズ」。早速、池袋で開催されている1日限りのワークショップ「らくリズ」レッスンを体験してきた。 前方に鏡が張られたダンス教室で、インストラクターの冨田麗子さんの指導でレッスンがスタート。シェリル・リンやアース・ウィンド・アンド・ファイアーらのソウルディスコミュージックに合わせてステップを踏む。 そこまで激しく動いていないように感じたが、開始10分で額に汗がじんわりと浮かんだ。 「うまく踊れんでもええよ」「ここはちょっとカッコいい顔でポーズを決めるで」と冨田さんのほがらかな関西弁での声かけに緊張もほぐれ、「下手でも、とにかく動いていればいいか」と最後まで楽しめた。 「『らくちんリズム運動』の名で私が立ち上げました」と冨田さん。 「『らくリズ』は、今はやっているような激しく跳んだりはねたり、首をガクガクと動かしたりというダンスではありません。とはいえ簡単に踊れそうに見えるけれど、実際にやってみるとちょっと難しいステップもある。踊り終わった後には達成感があります」 冨田さんは60代。その年齢だからこそ感じているのは「シニア世代になると達成感を味わう機会がだんだん少なくなる」。だからこそ「らくリズ」で達成感を味わってほしいと話す。 「生徒さんは『らくリズで充電して、また1週間頑張れる』とよく話されます。ソウルミュージックやディスコが好きだったなど共通の話題があり、生徒さん同士、話が盛り上がりやすい。体を動かすことで得られる爽快感だけではなく、懐かしい曲で楽しく踊り、話をすることでワクワクして心が豊かになる。今が青春時代、みんなが主役という世界観を大切にし、参加者が生きがいを感じられる場であることを重要視しています。しんどくなったら、途中で座って休んで音楽だけを聴いていてもいいんですよ」 ■「新しいことへの挑戦で脳が活性化」 ダンスがシニアの脳に与える影響について、老人医療・認知症問題にも取り組む米山医院(東京・あきる野市)の米山公啓院長に話を聞いた。 ◇ ◇ ◇ 新しい何かに挑戦するという行為はシニア世代にとって非常に重要。ダンスは身体的にも刺激になるし、振り付けを覚えることで脳にも刺激を与えます。 何人かの仲間と踊ることで、会話が弾んだり、笑いが生まれることも。脳の活性化にいい影響を与えます。少し複雑な振り付けを覚えて踊れると達成感を味わえる。さらには、踊れたことで仲間や先生から褒められる。これは人間には最高のご褒美なわけです。褒められると脳内物質であるドーパミンが放出されて快感につながりますから、頑張る意欲も湧く。褒められるというのは生きる上で必要なことですが、シニア世代になるとその機会は極端に少なくなります。ですから、ダンスや趣味でそれを味わえるならどんどん挑戦していただきたい。 昔聴いていた懐かしい音楽で踊るのもいいですね。音楽は感情移入が非常に速い。その曲を聴いていた時代のことを一瞬で思い出せる、ある意味でタイムマシンみたいなもの。楽しかった頃を思い出す、というのも脳にはいい刺激となります。