ビュッフェは持続可能か?――葛藤するホテルの試行錯誤とサービスの未来【#コロナとどう暮らす】
新スタイルで再開するケースも
自前でサービスを行うホテルを中心に、コロナ感染対策を施したうえビュッフェを再開し始めたところもある。 例えば、「新ノーマルビュッフェ」と銘打ち、7月1日から再開しているのが星野リゾートグループだ。 どのあたりが“新ノーマル”なのだろう? グループ内で先駆けて6月中旬から新ビュッフェを開始し、同業者からの問い合わせも相次いだという「星野リゾート リゾナーレ熱海」に向かった。 ビュッフェレストラン「スタジオビュッフェ もぐもぐ」の入り口で、まずは手指のアルコール消毒。検温済みのホテル宿泊者しか利用できず、予約制で入店人数を調整している。入り口に用意されているマスクと手袋を着用してビュッフェボードへ。すべての料理の上に、飛沫感染防止のための「アクリル製カバー」が設置されている。 足元にはソーシャルディスタンスを保つための「靴形マーク」。料理皿の間隔を広くし、料理を取り分ける宿泊者同士が隣り合わせや背中合わせにならないような工夫が見てとれた。
目を引いたのは、ビュッフェボードやテーブル、椅子、トングなど不特定多数の人が触れるアイテムに施された、特殊被膜のコーティングだ。以前から空港などで採用されてきた技術だという。インフルエンザウイルスの感染能力を無力化することが確認されているため、コロナウイルスへの効果も期待して、今回グループ全体で導入を決めた。 実際にビュッフェを試してみた。手袋をつけてトングを持ち、アクリル製カバーの下の料理を取る際、麺類などメニューによっては滑りやすく取りづらい場面があった。 「お客様の立場からすると若干わずらわしさがあるかもしれません。しかし、少しやり過ぎだと思われるくらい踏み込んだ安全対策をとることが、安心感につながると考えています」 「星野リゾート リゾナーレ熱海」の総支配人、北嶋文雄さんはそう語る。今後は、滑りにくい素材の手袋、皿の形状などを改善していく予定だという。