「出世したくない」若手社員の意識を変えた読書術とは 2025年は“たった1冊の本”でなりたい自分になる
師匠本は文字通り、身近な頼れる師匠になる
完コピ読書術のポイントは、本を読む目的が「情報を知る」ではなく、「なりたい自分になるために、スキルやノウハウを習得する」ことだという点にあります。「だからこそ、完コピする媒体は書籍がいい」とあつみさん。 あつみ「『なりたい自分になるためにやり抜く』となると、繰り返しコンテンツの内容を振り返ることになります。もちろん動画や音声でも完コピ読書と同じことはできますが、文字の方がやりやすいですから」
最近は本以外にも、YouTubeや音声コンテンツ、生成AIなど、インプット源は多様化しています。単に「情報を知る」ためなら、何かをしながら見聞きできるコンテンツの方が楽ですが、その分流れていきやすいのも事実です。 あつみ「すごい人や憧れの人に、そんな簡単に近づけないじゃないですか。だからこそ1冊と向き合うことが自分を変えることにつながります。自分の思考の癖を矯正するのは大変だし面倒ですけど、結果を出している人は絶対やっていると思いますね」 加えて、「総じて書籍は質が高い」と続けます。 あつみ「1冊を数カ月~1年以上かけて作っている分、質は圧倒的に高いですし、編集者さんが入ることによって読みやすくもなっています。 何より、書籍には著者の人生が詰まっていると思うんです。それは今回、自分が本書を書いて再認識したことでもあります」
だからこそ、師匠本は文字通り、身近な頼れる師匠として、道しるべになります。 あつみ「身近に師匠と呼べる人がいない人の方が多いと思うんです。社内で年次が上がると周りに気軽に聞けない場面が増えるし、誰かに弟子入りするのも難しい。上司ガチャだってありますよね。 でも、書籍なら関係ないんですよ。ビジネス書を買う人は何かしら課題があって、今よりステップアップしたい欲求があるはず。それをかなえる一つの方法として、完コピ読書術を取り入れてもらえたらうれしいですね」
執筆:天野夏海 撮影:大畑陽子 バナー写真:Sensay / gettyimages デザイン:山口言悟(Gengo Design Studio) 編集:奈良岡崇子