「出世したくない」若手社員の意識を変えた読書術とは 2025年は“たった1冊の本”でなりたい自分になる
読書が苦手だったり、本が読めないことにコンプレックスを抱いたりしている人にこそ、完コピ読書術を試してほしいとあつみさん。 あつみ「読書下手にとって、読書好きで年間百冊も読んでいる人の読書法はベースが違いすぎてあまり参考にならないけれど、完コピ読書術は読書下手な私が試行錯誤して生み出した読書法です。 工程が多く見えると思いますが、多分、読書を実践に生かせる人は頭の中で同じようなことをやっているんですよ。完コピ読書術はそれを取り入れ、読書上手になるステップになるのではと思います」
複数人での完コピも効果的
完コピ読書術を難しく感じる場合は、「グループワークを設定するのもおすすめ」とあつみさん。 あつみ「社内に課題図書があれば、それをテーマにグループワークをしたり、みんなで師匠本を決めて週1回集まってディスカッションしたりするのも有効だと思います」
実際にあつみさんが起業前にマイナビで働いていた頃、「課長になりたくない」という若手社員たちとともに、グループで完コピ読書を行ったことがありました。 あつみ「課長になったら仕事はさらに大変になるのに、給料はたいして上がらない。それなのに課長になる意味がわからない、そんなの罰ゲームじゃないですか? という子が、当時の社内には多かったんです」 そこであつみさんが課題図書に選んだのが、『リーダーはじめてものがたり』(幻冬舎)。
社内最年少でチームを任された主人公の成長を追う、ビジネス小説です。 あつみ「まずは感想を言い合う、カジュアルな会を開きました。『ああいう達成感はいいと思った』みたいな話をしながら、『課長の仕事をどう思ったか』『もし自分が課長になったら、今の部署をどう変えたいか』など、本をベースにディスカッションしていきました」
最終的に「どういう課長になりたいか」を各自が言語化。その結果、「ここまでやったし、課長を経験してみてもいいかも」と、課長になりたくなかった若手が前向きに昇進していったと言います。 あつみ「その会はクチコミで広がって、私が退職した後もしばらく『リーダーはじめてものがたり』は課長昇進時の課題図書になったそうです。 ストーリーを追いながら課長になった先をイメージしやすい本であり、『なりたい自分』を明確にする重要性を再認識しましたね」