「売れないタワマンとEV」を抱えて崖っぷち…経済オンチの習近平主席が「14年ぶりの政策転換」を発表した意味
■経済対策の効果はまだ乏しい 中国人民銀行は、大手の国有銀行などに対して融資を増やすよう指示もした。地方政府のマンション在庫買い入れ資金増加、デベロッパーの資金繰りサポートなどを企図した。金融政策からは、本土株などの下落を食い止めるための措置(PKO)も打った。 しかし、12月前半までに発表した主要経済指標を見る限り、一連の経済対策の効果は必ずしも明確ではない。代表的なデータは消費者物価指数だ。11月、CPIは前年同月比0.2%上昇した。豚肉などが値上がりする一方、自動車などの耐久財の価格は依然として下落傾向だ。 2022年4月、上海ロックダウンをきっかけに、中国の消費者心理を表す消費者信頼感指数は停滞している。新築住宅価格は前年同月の水準を下回り続けている。改革開放以降、中国では、マイホームを手に入れたいと思う人が増えた。それによって、不動産バブルの膨張により過度な価格上昇期待も高まり、家計の貯蓄は不動産分野に流入した。 ■ゼロコロナ政策への不信感が尾を引いている 2020年8月以降、不動産バブルが崩壊し住宅価格の下落が鮮明になると、債務返済を急がざるを得ない家計は増えた。その後の強引なゼロコロナ政策は、政策不信感を高めたようだ。そうしたマイナスの影響がなかなか払拭できない。 中国政府は、若年層の失業者の増加を食い止めなければならない。中国政府が一党独裁の体制を維持するため、党指導部の政策運営が社会の安定・安心に重要であることを示す必要がある。 12月の中央経済工作会議からも、そうした意図は確認できる。そのために、政策の効果として資金供給を増やし投資をかさ上げし、大手国有企業を中心に生産能力を拡充しようとしている。政府は金融政策を14年ぶりに“適度に緩和的”とし、財政赤字の上振れも容認した。 9月の総合経済対策などと比較すると、消費を重視したとの見方はあるが、基本的には既存の生産体制を拡充し、経済全体を強力にする方針と考えられる。主な政策として、不動産分野で住宅在庫の買い入れ資金枠を拡大するとみられる。