松田龍平が「東京」という街に向ける意外な視線…「中国語の警察通訳人」を演じて見えてきたもの
今の日本において、少子高齢化で人口減少が進むのとは対照的に、毎年増加を続け、急速に存在感を高めている外国人居住者たち。現在、東京都内には過去最高となる、およそ70万人の外国人が暮らし、特に新宿区に住む人の数が突出している。 【写真】驚き! 「ミドリ髪」に大胆チェンジした奈緒の最新ショット その新宿を舞台に、国際捜査係の警察官と中国語の警察通訳人のコンビを主人公にした、これまでにない新たな社会派エンターテインメント、NHKドラマ10『東京サラダボウル』が1月7日(火)より放送をスタートした。原作は『クロサギ』を描いた黒丸による傑作コミック『東京サラダボウル-国際捜査事件簿-』。実写映像化にあたり、個性の異なるバディをW主演で演じるのが、本格的な共演は今回が初めてとなる奈緒さんと松田龍平さんだ。 ドラマの放送開始に先立ち、昨年12月10日にNHK放送センターにて、ドラマ第1話の完成試写会と記者会見を開催。役柄同様に息の合ったコンビぶりを見せた奈緒さんと松田さんが、会見終了後、改めてドラマの魅力や見どころ、撮影を通して得た気づき、本作にこめられたテーマへの想いなどをたっぷり語り合ってくれた。 取材・文/石塚圭子 撮影/安田光優 インタビュー前編は【奈緒「言葉にできない関係性がすごく好き」外国人居住者が増えつづける東京で考える「多様性」】から。
“食”を通して会話が広がっていく
──国際色豊かな“食”も本作の大事な要素です。第1話では、鴻田がサソリをはじめ、珍しい料理をおいしそうに食べるシーンもインパクトがありました。 松田「替えの料理も用意されていたのに、奈緒さん、芝居中に話しながら、めちゃくちゃ食べていましたね(笑)」 奈緒「食べちゃったんですよ、豚の脳みそ……。お芝居をしている最中だったんですけど、間違えて食べちゃって、内心ビックリするっていう(笑)」 松田「顔には全然出ていなかったですよ。さすがだなぁと思って」 奈緒「ほんとですか? よかった」 松田「ドラマにはいろんな国の人たちが登場するとともに、その国の料理も出てくるんです。今回のドラマで初めて知った料理もたくさんあったし。何のドラマを撮っているんだろう? って思うくらい(笑)、食べカットが多くて」 奈緒「そうですね。撮影中、いろいろ食べましたね」 松田「ベトナム料理もけっこう出てくるんですよね。ヘルシーで、おいしかった」 奈緒「おいしかった~。私、撮影の合間にも、バインミーを買いに行っちゃいました」 松田「バインミーって、有名だったんですね。僕、それまで知らなくて。あと『東京サラダボウル』なのに、台湾のキャストが、日本のサラダにストレスを感じていたのがおもしろかったです(笑)。『日本の店には生野菜のメニューしかない。私は温野菜が食べたいのに』って」 奈緒「『野菜料理が少なすぎる』って言っていましたね」 松田「中国や台湾では生野菜を食べる習慣があまりないから」 奈緒「身体が冷えちゃうからって。日本でも空心菜の炒め物とか有名ですけど、中華圏では、ああいう感じの野菜料理が、メニューにたくさんあるんですよね。私も台湾に行ったとき、野菜がすごくおいしいなぁと思って。でも、他の国の方たちも言っていましたね、『日本は野菜の種類が少ない』って。 日本は全国を探せば、京野菜とか、野菜の種類自体はけっこうあると思うんですよ。でも、スーパーにはほとんど、通年、家庭で使える野菜しか売っていないから。めずらしい野菜は手に入りにくいし、野菜の値段も上がっているし、消費者に届かなくなっているところがあるのかなと、すごくハッとさせられましたね」 ──撮影以外でも、他の国のキャストと食事をする機会はありましたか? 奈緒「はい、第1話に出演した台湾の女優さん2人と、ごはんを一緒に食べに行ったとき、2人とも同じ台湾で育っていて、台湾料理に関しては好みが同じなのに、日本の食べ物の好みは全然違うのがおもしろいなって思いました。日本の納豆みたいに、その国に古くから伝わる食べ物は、好み以前に、育ってきた環境で自然と食べられるようになることもあるけど、大人になって初めて出会った食べ物には、個人の好き嫌いがはっきりと出るんだなぁって、気づかされました。 食を通して、その人の出身国の話になることもあれば、個人的な思い出話になることもあって。食事から会話が広がっていくのを実感したので、すごく楽しかったですね。やっぱり一緒にごはんを食べるって、いいなぁと思いました」