松田龍平が「東京」という街に向ける意外な視線…「中国語の警察通訳人」を演じて見えてきたもの
東京は変化が速く、多面的かつディープ
──タイトルにも入っているように“東京”という街自体も、本作においては、重要なキャラクターといえます。お二人は東京について、どのようなイメージを持っていますか? 奈緒「龍平さんはご出身が東京だから……」 松田「そうですね、そのぶん東京に対しての客観性はあんまりないんだけど……外国人の監督が東京を撮ると、いつも自分が見ている景色と同じはずなのに、切り取り方が全然違うなって思うことがよくあって。それで、自分が東京に旅行に来たっていう気持ちで街を見てみたら、意外とおもしろかったんですよね。だからときどき、そういう目線を意識したりしますね。 あと、東京って、昔よく行っていた場所でも、久しぶりに来たら、すごく変わっていたりして。特に大きい街だと、変化のスピードが速いじゃないですか。だから、やっぱり刺激的ではありますよね。いろんな角度から見ようと思えば、より楽しくなるし」 奈緒「私はそれこそ地元の福岡にいるときは、東京のイメージ=東京ディズニーランドだったんです。だから、修学旅行で行った時に、え……千葉なの? みたいな。地方民の最初の衝撃(笑)」 松田「小学生が思うやつだ(笑)」 奈緒「そう(笑)、それが東京の始まりで。地方から上京して、ご活躍されているアーティストの方って、よく『東京』っていうタイトルの歌を出したりするじゃないですか。だから、地元にいる頃から、東京って、すごく特別な場所なんだろうなと思っていたんですよ。 先ほどの龍平さんの話を聞いていて、あ! って思い出したんですけど、福岡にいた頃、『TOKYO!』(08)という映画を観たことがあって。いろんな国の監督が東京を舞台にした物語を撮ったオムニバス作品で、ぜんぶ印象が違ったんです。東京って、結局どんな街なの!? って思いながら、上京した後、いろんな場所に行ってみて、あ、確かにこれは、ひとつの何かで表すことはできないなって、すごく思いました。東京って聞いたとき、人それぞれイメージするものが違うっていうのが、東京のおもしろさなんだなって」 松田「さらに、パッと見たときの印象だけじゃなく、実際に中に入ってみると、めちゃめちゃディープな世界が広がっていたりしますからね」 奈緒「今ドラマで撮影している新大久保はリトル韓国と言われていますけど、私が知らないだけで、きっと他にもリトル〇〇みたいな場所が東京にはたくさんあると思うので。そういう場所をもっと知りたくなりました。あと、海外のキャストの人たちと話していて、みなさんから『日本って、こうだよね』『東京って、こうだよね』って、彼らが客観的に見て感じたことを教えてもらうこともたくさんあって。それもすごくいい経験だなと思います」