コロナ禍で停滞、危機に瀕する小児心臓移植――患者と家族の苦悩
6月以降に移植手術が増えたことで、EXCORには若干の空きが出た。だが、今度はポンプの世界的な供給不足なども重なり、こたろう君が装着できる目途はたっていない。新型コロナの感染再拡大によって、移植手術の先行きは不透明だ。 福嶌医師は言う。 「心臓移植は、本来なら重い病で助からない子が長期間普通の生活を送れるようになる医療です。一方、ドナーのご家族は、深い悲しみの中で提供を申し出てくれます。私たち医療者はその意思を大切に受け取っていかなければなりません。感染が今のように広がれば、移植を含めて多くの医療が止まります。新型コロナが重症化しても搬送されないケースが報道されていますが、その陰には、コロナ以外の病気で救急医療につながれない人や、医療が止まって苦しむ人がいる。そのことも知ってほしいです」