「フェラガモ」の命運握る29歳デザイナーが語る 伝統を前進させる覚悟
シューズとバッグに対するこだわり
WWD:「フェラガモ」の代名詞であるシューズをはじめ、実用品としての側面も大きいバッグやシューズの制作は、ウエアとはまたアプローチが異なると思う。どのように取り組んでいるか?
デイヴィス:ウエアで大切にしているのは、これまでのシルエットをベースにしながら新しいものを生み出すこと。一方、バッグを制作する時には、機能性に加え、それがブランドを象徴するとともに将来的にも押し出していきたいものかどうかを考える。例えば、23-24年秋冬に初披露した“ハグ(HUG)”バッグは、シーズンごとに新たな色や素材、アレンジでアップデートしている。それはファミリーを増やしていくような感覚。ただ、コレクションを見た時に一目で「フェラガモ」の魅力と一貫性を理解してもらえるようを意識している。シューズは、ウエアと同じようにデザインにおける新しさや面白さを探求しているが、ショーピースと同じデザインでもより低いヒールやフラットを製品としては提案することで、さまざまなペルソナに合うようにしている。特にバッグやシューズは、身近なアイテムだからこそ確実にウエアラブルであり、クリエイティビティーとクラフトを感じられるものであるべきだと思う。
WWD:これからさらに強化したり、新たに取り組んだりしていきたいアイテムは?
デイヴィス:私たちは、シューズでブランドを認識してもらわなければならない。バレエシューズなど、いくつか象徴するようなアイテムはあったが、必要なのはフルラインアップをそろえてプッシュしていくこと。「フェラガモ」を訪れた時に、デイシューズも、イブニングシューズも、サンダルも買えるんだと思ってもらいたい。そして、それは何年も履くことができ、何世代にもわたって受け継がれていくもの。だからシューズは何より重要であり、今後もさらに注力していく。