iPhone 16のカメラコントロールに詰め込まれていた「アップルの技術と思い」
■純正ケースに秘められた不思議なギミック iPhone 16シリーズのカメラコントロール搭載に合わせ、純正のクリアケースやシリコンケースにも新しい工夫が盛り込まれました。サードパーティ製のケースは、側面に穴を開けるなどしてiPhone本体のカメラコントロールを露出させていますが、純正ケースは白いサファイアキャップのパーツがはめ込まれています。iPhone本体のカメラコントロールに直接触れないのに、ケースなしの状態とそん色のない操作性が確保できているのに驚かされます。
「私たちは、多くのiPhoneユーザーがケースを装着していることを知っています。そこで、ケースを装着した状態でもiPhone本体のカメラコントロールと同じ体験が提供できるよう、新しいクリアケースとシリコンケースを開発しました。表面にはiPhone本体と同じサファイアクリスタルをはめ込みつつ、その下には特別に設計した導電層を組み合わせることで、カメラコントロールに正確なジェスチャーを伝えられるようにしました。ケースの一番内側には薄い特殊コーティングを施し、一貫したセンサー性能を確保しています」(Richard Dinh氏) ■指の動きの速さに応じて挙動を変えている さまざまな工夫が盛り込まれた強力なハードウェアを活用して直感的で楽しいユーザー体験を提供するため、ソフトウェアやデザインに込めた工夫については、ヒューマンインターフェースデザイナーを務めるJohnnie Manzari氏に伺いました。 「私たちがまず掲げた目標は、カメラを起動して写真を撮影するのをできるだけ速く簡単にすることと、カメラコントロールに軽く力を加えることで撮影者の意図をiPhoneに伝えられるようにすることでした。人間工学的に最善の場所にカメラコントロールを配置することも重要でした」 アップル製品にふさわしい高い水準のユーザー体験も追求したといいます。「カメラコントロールの上で指を滑らせることで調整しますが、センサーチームと密接に協力し、指の動きがダイレクトに反映されるようにしました。素早く指を滑らせたときの挙動など、細かな部分まで配慮しています」(Johnnie Manzari氏) この工夫は、カメラコントロールで実際に体感できました。ズームは、指をゆっくり動かすと0.1倍刻みで細かく調整できますが、指を素早く滑らすと「0.5×」「1×」「2×」「5×」それぞれのポジションに吸い付くようにピタリと止まってくれます。ラフな操作でもよく使うズームポジションに簡単に変更できる工夫は、アップルらしいと感じました。 ■サードパーティやApple Intelligenceにも展開 カメラコントロールはアップルの純正アプリだけでなく、Blackmagic Cameraなどのサードパーティ製カメラアプリにも開放されています。Piyush Pratik氏は「独自のカメラアプリにカメラコントロールを使ったパワフルで楽しい体験をもたらせるよう、アップルはアプリ開発者やコミュニティを支援しています。ユーザーは、カメラコントロールでお気に入りのサードパーティ製カメラアプリを起動できるよう設定を変えることもできます」と、サードパーティを巻き込んだ広がりに期待を寄せました。