ふたご座流星群は実は「変わり者」、見ごろのピークに 流れ星を楽しむための基礎知識
どのぐらい出現する? よく見られる時間は? どうやってできる? など流れ星について知っておきたいこと
流れ星は太古の昔から人々を魅了し続けてきた。なかでも、無数の流星が降り注ぐ流星群は特別だ。科学者は1800年代半ばから、ほぼすべての流星は氷の彗星(すいせい)から生まれることを知っていたが、なかには少数ながら小惑星を起源とするものもある。その一つがふたご座流星群で、もとの母なる天体は小惑星のファエトン(ファートンとも)だ。 ギャラリー:思わず息をのむ美しい流星 写真6点 まずは彗星から流れ星が生まれる過程から紹介しよう。 遠い宇宙から来た彗星が太陽に近づくにつれ、熱によって彗星の表面の氷がガスへと変化する。これが彗星の美しい尾となる。 彗星の氷が蒸発すると、ちりや粒子、さらには大きな石が放出され、それらが彗星の軌道に残される。彗星が太陽の周りを公転するたび、彗星の軌道にかけら(流星体)の流れが形成され、彗星が軌道から飛び出し、太陽系の外縁に戻った後も流れは残る。 地球が太陽の周りを公転するとき、かけらの流れを通ることもある。地球が彗星の残骸をかき分けるように進むとき、小さな岩石が地球の大気圏に突入して燃え上がり、夜空に壮大な光景が現れるというわけだ。 一方、ファエトンの残骸がどのようにまばゆい光を放つかは正確にはわかっていない。しかし、ある研究では、ファエトンはより大きな惑星体あるいは彗星の一部で、衝突や爆発によって分裂し、その際に生じた破片が流星群をもたらしているという仮説を立てている。
1時間に1000個の大量出現や火の玉も
流れ星は毎晩見られる可能性がある。とはいえ、最も鑑賞に適している時期は、毎年やって来る流星群のピークだ。彗星の残骸が特に多い部分を地球が通過するタイミングで、毎年予測可能な時期に起こる。 流星群は地上から見ると、夜空の一点から流星が放射状に降り注ぐ。そのため、ほとんどの流星群は、その一点にある星座の名前が付けられている。 例えば、毎年8月にピークを迎える活発なペルセウス座流星群は、ギリシャ神話の英雄ペルセウスにちなむペルセウス座から降り注ぐ。 主な流星群で見られる流れ星の数はそれぞれで異なる。例えば、4月のこと座流星群は1時間に15~20個、12月のふたご座流星群は60~70個の流れ星が現れる。 しかし、流れ星の数は完全に一定なわけではない。いつもはあまり活発ではない流星群でも、1時間に1000個近い流星を大量出現(アウトバースト)することが知られている。明るい火の玉の火球が夜空を彩ることもある。 流れ星が落ちる速度も流星群によって違う。その結果、天体ショーがどのぐらいの時間見られるかが異なる。 残念ながら、特定の流星群がピークを迎えるタイミングは正確には予測できない。また、南半球または北半球のどちらかに偏って見られる流星群もある。 ある日本企業は、よりコントロールされた体験を提供するため、化学物質を詰めたペレットの「流星」と人工衛星を使い、人工の流星群をつくり出す方法を提案している。 自然の流星群を体験する最良の方法は、都市の光害と無縁な場所に行き、流星群と関連する星座が空高く昇るのを待つことだ。次々と現れる光を見逃さないよう、まず暗闇に目を慣らしておこう。
文=Victoria Jaggard/訳=米井香織