「タイヤ館」元新入社員が上司らのパワハラ苦に自殺か 遺族が会社を提訴 会社側は「自殺ではない」と反論 京都地裁
2021年、ブリヂストンの関連会社で「タイヤ館」などを運営する企業に勤めていた男性新入社員が上司らからのパワハラを苦に命を絶ったと主張し、両親が会社に対して、損害賠償など約6500万円を求める訴えを26日、京都地裁に起こしました。 訴状によりますと、2021年、ブリヂストンの関連会社「ブリヂストンリテールジャパン」に入社した男性は、自動車の整備などを行う「タイヤ館」でタイヤの持ち運びや作業場での清掃の仕事に従事していました。 しかし、店長などの上司から複数回他の従業員の前で大声で叱責を受けるなどした後、入社から約8か月後の2021年12月に転落死しました。両親は男性がパワハラを苦にして自ら命を絶ったと主張しています。 訴状などによりますと、男性は作業の仕方を教えてもらっていないのにもかかわらず、作業中にミスをしたことを、他の従業員もいる朝礼で上司から「あかんやろ」「他の人がやり直して時間もかかったぞ」などと叱責されたということです。 また、注意されたことに対し、男性が思わずエレベーターのスイッチを殴る仕草をしたところ、店長から大声で恫喝され、「壊れたらどうするんや」「器物損壊、警察沙汰や」と大声で叫ばれたということです。また別の上司からも、この件をめぐり、精神科の診察を受けるように勧められたうえ、上司から両親に伝えてカウンセリングを受けさせるなどと発言されたということです。こうした上司とのやりとりがあった当日、男性は死亡しました。 その後、両親は2023年7月に京都南労働基準監督署に労災申請しました。労基署は2024年4月「社会通念に照らして許容される範囲を超える精神的な攻撃を受けたと判断される」として、労災だと認定しました。 両親は、労災認定を受け、会社が「ハラスメントを防止すべき義務があるにもかかわらずパワーハラスメントを発生させ、安全配慮義務違反は明らか」などとして、損害賠償を求める訴えを起こしたものです。 両親は、京都市内で会見を開き「労基署の方でパワハラが認められているのだからパワハラを認めて謝罪してほしい」と訴えました。 一方、ブリヂストンは読売テレビの取材に対し「本日の京都地裁の提訴に関しましては当社に訴状が届いていないため現時点ではコメントは控えさせていただく」と回答。そのうえで、「従業員がお亡くなりになったことについてお悔やみ申し上げます。お亡くなりになった原因でありますが、警察では自殺という判断ではないと聞いており、死因は『その他』として、事件性もないと判断していると聞いています。私どもとしては、警察の判断を尊重しています」と答えました。