ポンドに高値警戒感、上昇長続きしないとの見解相次ぐ-先行き不透明
(ブルームバーグ): ポンドは今週、再びG10通貨の中で際立つ上昇を遂げた。だが、この上昇は長続きしない見通しが強まっているとの見方が、JPモルガン・プライベートバンク、ステート・ストリート・グローバル・マーケッツ、ジェフリーズのストラテジストから相次ぎ示された。
米連邦公開市場委員会(FOMC)が大幅利下げを決めた翌日のイングランド銀行(英中央銀行)政策判断は金利据え置きで、ポンドは対ドルで2022年3月以来の高値に上昇した。G10通貨のうちポンドの上昇率は群を抜いて大きく、一段高を見込むポジションは10年ぶりの高水準付近にある。
だが、英経済成長の軟化に加え、労働党政権は10月からの財政緊縮を視野に入れている様子だ。こうした先行きの不透明性は英中銀が利下げペースを加速する必要性を増し、ポンドの主な支援材料を取り除く。
ステート・ストリートで欧州・中東・アフリカ(EMEA)地域マクロ戦略責任者を務めるティム・グラフ氏は「ポンドの対ドル上昇は一時的だと考えている」との見方を示し、「3カ月から6カ月の期間では、ポンドはドルに対し結局下がっていると思う」と述べた。
他の中央銀行が金融緩和を加速させる中で、英中銀は利下げを緩やかに進めるアプローチを取ると表明し、ポンドは比較的高い利回りの確保を目指す投資家の人気を集めた。
米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉(未決済約定)報告によれば、ヘッジファンドなど短期筋のポンド買い越しは7月に急増し、いまや2014年以来の高水準に上る。8月には機関投資家がポンドに対し過去1年で最も強気に傾いた。
JPモルガン・プライベートバンクのグローバルマーケットストラテジスト、マシュー・ランドン氏は「目先の上値追いはほとんど合理性がない」と指摘。HSBCホールディングスのストラテジストらは、20日に取引されている1ポンド=1.33ドルの水準は「持続不可能に見える」と説明した。