暑すぎて運動できない、格差が広がる…気候変動を伝える新聞記者たちが語る「覚悟」
「気候変動問題」は専門的な記者だけが書くものではない
――ありがとうございます。Media is Hopeの方から何かご質問などありますでしょうか? Media is Hope・西田吉蔵さん今後いろんな分野の記者の方が気候変動に絡めて記事を書いてくださるといいなと思います。長く気候変動の取材をしていらした皆さんが、「気候変動に絡めて記事を書きたい」と思っている人からアドバイスを受けた際に、どのようなことをお伝えしていらっしゃいるのか、ぜひ伺いたいです。 毎日新聞・八田まずなにより、「気候変動問題」というのは専門的な記者だけが書くものではなくて、あらゆる人が、自分の担当をしている分野に引き付けて書かなければいけない問題だと思っています。 ただ、苦手意識や「科学は難しい」という思い込みもあるとは思います。まずはわかりやすい文献を読むとか、わからないことに対してわかったふりをしない、わからないことを恥ずかしいと思わない。そのように0から始めて、自分の持ち場での記事につなげていくということが大切なのかなと思います。 例えば「スポーツ」というと雪がなくなってきてそのスポーツが行えない、暑すぎて運動できないなどの問題が生じます。「それはなぜなのか」、「過去と比べてどのくらい暑いのか」、「ではそこに気候変動がどれだけ影響しているのか」。そのような疑問に答える気候変動の科学は進歩し、多くのデータや論文も公開されています。そういうものを調べ、専門家に協力してもらいながら科学ベースできちんとしたことを書くことができるはずです。 朝日新聞・香取私は、本紙のデスクで気候変動担当をしていたときに、ほかの部からも結構相談を受けました。たとえば「どういう人に話を聞けばいいか」と言われて識者を紹介したり、こちらで原稿を読んで「この暑さは気候変動の影響で、気候変動は化石燃料の排出からきています」といった一文を短くてもいいから入れたほうがいいと伝えたり。あとは例えば暑いことを伝える写真をセレクトする際に、昔であれば子どもが水浴びしている写真やアイスを食べている写真でもよかったかもしれませんが、今のこの災害的な暑さの中ではそれはミスリードになりえます。ですからもう少し深刻な写真にしたほうがよいのではないかと伝えたこともあります。 ――外出するのが危険なほど暑くてプールの授業が中止になるということも、現実に起きていますからね。