「誰にも見えていた」機会を掴む人と逃す人の違い 人生の点と点をうまくつなぐ人がしていること
この能力はさまざまな場面で威力を発揮する。たとえばヒューストン出身のピート・マンガー(仮名)のケースだ。 ピートは労働者階級の家庭に育ち、おまえのような人間は地元の工場で働くしかない、とずっと言われ続けてきた。 父親からは「オレたちのような人間は大学なんていかない。そんな能力は持ち合わせていないんだ」と言われた。 ピートはある夕食の席で、大学の講師と出会った。講師はいくつかの大学の名を挙げ、「試しに応募してみればいいじゃないか」と背中を押してくれた。そうすべきだと感じたピートはその言葉に従った。
■状況を自らコントロールする 簡単な道のりではなく、本当に努力した。そして最終的には家族で初めて大学を卒業した。 成功につながった要因はいくつもあるが、最も重要なのは運命を自らコントロールしようと決め、ふだんなら見逃してしまうサインをとらえたことだとピートは考えている。 彼は世界トップ10に数えられる大学を卒業し、今や世界有数の名門校の出身者となった。 どうすれば状況に対して受け身にならず、自らコントロールできるのか。マインドセットを変えることで、それまで想像もしなかった機会がにわかに手の届くものになる。
フィルやピートに共通して言えるのは、彼らが目にしたトリガーは他の人の目にも入っていたということだ。 原油流出事故をテレビで見たのはフィルだけではなかった。大学へ応募書類を送るのも、ピートだけが持てた機会ではない。 違ったのは、彼らの反応だ。彼らは点と点をつなぎ、セレンディピティを引き起こしたのだ。
クリスチャン・ブッシュ : サンドボックス・ネットワーク共同創設者