【アルピナ物語】伝説のBMWチューナーの遺産 BMW 5シリーズをアイコンモデルに変えたアルピナB7とB10とは?
ALPINA(アルピナ)B7、B10。BMW 5シリーズをベースとしたアルピナ: アルゲー出身のBMWチューナーの遺産。
私たちは、この物語をめでたい機会に持ってきたかった。アルピナの創始者であるブルカルト ボーフェンジーペンの死後、彼の遺産を振り返る。
アルピナは、長年にわたるファクトリーサポートを受けるBMWチューナーから、独立したメーカーへと発展してきた。そして、ブッフローエの「5シリーズ」は、個々のアップグレードコンポーネントからコンプリートカーへと移行した。 コンプリートカーは、BMWの「E12」シリーズをベースにしたB7ターボから始まった。そして、「M30」直列6気筒エンジンを搭載した「528i」がベースとして選ばれた。開発マネージャーのフリッツ インドラはエンジンをボアアップし、KKK製ターボチャージャーを装着した。ターボチャージャーは0.55~0.85バール(bar)の間でブースト圧を可変でき、センターコンソールのロータリーホイールで調整できる。低速ギアでは250馬力、フルブーストでは300馬力を発揮するが、今我々の前にある「B7」はブースト圧が最小と最大で0.05バールずつ上昇する後期「Sバージョン」である。
そして何よりも、3.5リッター6気筒になったことで、「B7 S ターボ」は正統派スーパースポーツカーの寵児となった。同時代の「フェラーリ 308」は、加速でも最高速度でもB7に対抗することはできなかった。ビルシュタイン・コンポーネント、ベンチレーテッドディスクブレーキ、ミックスドタイヤは、堅苦しいアッパーミドルクラスにおける高性能車の証となった。当時、「パワーセダン」という言葉を聞いたことがある人はほとんどいなかった。
パワー5シリーズの苦難のスタート
こうして、顧客はまずこのクルマを理解する必要があった。アルピナは4年間で209台を販売したが、そのうちよりパワフルな「S」はわずか60台だった。ベースとなったのはやはり「M30」の2バルブエンジンだが、大幅に改良され、パワーが向上した。両車の走りは、その基本的な形状から想像できるように似ている。 「E28」の方がよりモダンに見えるが、それはバロック調のインテリアが少なくなったからに他ならない。ゲトラグ製ドッグレッグギアボックスを備えた「E28」は、当時アルピナが強調していたツーリングカーの魅力も醸し出している。シャシーは現在の基準からするとどちらもソフトだが、当時はおそらくとんでもなくスポーティだったのだろう。スラロームでのダイブアングルは、いまから見れば確かに冒険的だ。その一方で、ターボの突き上げがリアアクスルにまったく当たらず、やがて一気に襲ってくるのも、この手のクルマでは他に望むべくもない時代の特徴だ。