愛しきまひろを残してこの世を去った周明。辛くても、人生が続く限り生きていかなければならない【NHK大河『光る君へ』#47】
平安の女たち、平安の男たちを描いた、大河ドラマ『光る君へ』の第47話が12月8日に放送されました。40代50代働く女性の目線で毎話、作品の内容や時代背景を深掘り解説していきます。 【画像】NHK大河『光る君へ』#47
民への軽視は変わらず...都であぐらをかく貴族たち
先週の放送回のラストで、躓いたまひろ(吉高由里子)に手を差し伸べた周明(松下洸平)に矢が当たりました。彼が一命をとりとめられるのではとあわい期待を抱きながら一週間すごしていた視聴者は多いと察します。こうした期待もむなしく、周明(松下洸平)は倒れたまま息をひきとりました。倒れこんだ周明は何かを語りたそうにも、いや語っているようにも見え、その姿に悲しい気持ちになりました。
まひろは周明のもとを離れることを拒んでいましたが、乙丸(矢部太郎)に勢いよく引かれ、その場を離れることになります。まひろの周明への愛情や申し訳なさ、乙丸(矢部太郎)のまひろを守らなければならないという強い使命感が混ざりあう切ないシーンでした。 一方、都は今のところ平和なよう。公卿や大臣らは対馬や壱岐で起こっているこの一連の事件について関心が薄い様子です。
道長(柄本佑)や実資(秋山竜次)はこの問題を重く受け止めているものの、摂政・頼通(渡邊圭祐)や多くの公卿たちはしばらく静観する方針をつらぬいており、自分事としてはとらえていません。それどころか、左大臣の顕光(宮川一朗太)のように陣定で居眠りするほど無関心な者も。 道長は息子である頼通に「民が!」「あまた死んでおるのだぞ」「お前はそれで平気なのか」と問いかけますが、彼の思いは息子には伝わらず...。
温厚な性格の道長が怒鳴るのは珍しいことですが、道長にとって民や大宰府にいるだろうまひろはそれだけ大切な存在なのです。このシーンでは道長を演じる柄本の渾身の演技がみどころであり、道長の不安や政を怠っている息子への苛立ち、どうすることもできないもどかしさなどさまざまな感情が視聴者に伝わりました。 道長は政を頼通に譲ったとき、まひろがかつて話していたように次の代、その次の代とつながっていくことで、まひろと一緒に思い描いている政の実現を期待していたはずです。しかし、頼通は父の思いを引き継いでいるとは到底思えず、ふたりが訪れを期待しているような日が訪れるとは現段階では考えにくいでしょう。