SNS批判殺到!なぜびわ湖毎日マラソンの号砲は鳴らなかったのか……そして大雨仕切り直しはレースに影響を与えたのか
マラソンの東京五輪代表を決める最終選考レースを兼ねたびわ湖毎日マラソンが8日、滋賀県大津の皇子山陸上競技場発着の42.195キロコースで行われ、3度目のマラソンとなる”伏兵”の作田直也(25、JR東日本)が日本人トップ(全体4位)の2時間8分59秒でゴールした。だが、大迫傑(28、ナイキ)が東京マラソンで更新した2時間5分29秒の日本記録を上回ることができず最後の1枠をゲットすることはできなかった。スタート時の天候は、あいにくの雨で気温9度という最悪コンディション。しかもスターターピストルが計器の不具合で鳴らず10分間遅れるアクシデント。雨中で待たされ体を冷やした選手は一様に「関係ない」と言い訳をしなかったが、大事なレースに水を差す不祥事となった。なお優勝したのは30キロ過ぎから飛び出したエバンス・チェベト(31、ケニア)で記録は2時間7分29秒だった。
予備のスターターピストルも作動せず
号砲が鳴らない。 スタートと同時に腕時計のタイマーを押そうと構えている選手たちの顔が曇った。 「え?」 「10秒前」のコールが行われ、とっくに、その10秒が過ぎても号砲が鳴らないのだ。 スターターピストルを持った大津市長は、その左手を高く掲げたまま。引き金を引いたのか、引かなかったのかも確認できなかったが大きな電子音は鳴らず、電光掲示板だけがタイムを刻み始めた。10秒が過ぎ、20秒が過ぎ、やがて1分を経過した。 どしゃぶりの雨でスタート時の気温は9度。いつまでも市長が左手を下げないものだから、ずっと静かにスタートを待っていた選手たちの肉体は凍えた。雨に打たれ、あまりの寒さに、もぞもぞと体を動かし、その場で足踏みをするなどし始めた。 これが103回目のマラソンとなる川内優輝(33、あいおいニッセイ同和損保)は思わず笑っていた。 「あれは単純におもしろかった。リラックスできました」 百戦錬磨の川内だからこそ、そう思えたのだろう。 明らかに異常が発生していたが、何もアナウンスされないまま、さらに3分が経過しようとしていた。251人の参加選手に不穏な空気が流れていく。 「ピストルと計測器は連動しており、ピストルが鳴ったタイミングでタイマーが動く設定になっています。今回は、ピストルが鳴らないのにタイマーが作動しました。ピストルが鳴らなかった直後、計測器担当のシチズンTICが、予備のピストルも含めて確認しましたが、すぐに原因がわかりませんでした」(坂一郎・大会副委員長) 待たせた原因が、これ。 火薬式のピストルではなく、電子式で号砲をスピーカーで鳴らすタイプだから雨の影響は受けない。それでも故障が起き、予備のピストルも動かなかったため、係員が出て、一度、トラックから退出するように促した。ようやく選手たちは、解散。「9時25分にスタート時間を変更します」のアナウンスが流れた。 選手たちは、雨を避けてスタンド下や、競技場内の廊下、トイレに散らばった。待機場所に置いてあるストーブの周りを囲んで暖を取る選手、オーバーコートや毛布を羽織る選手、再びアップをやり直す選手、関係者に体をさすってもらい失った体温を取り戻そうとする選手など、狭いバックステージはごったがえした。 「むちゃくちゃ寒い」 「ありえない」 選手たちは口々にぼやいていた。