「主婦年金」の廃止は先送り決定。それでも追い込まれる「専業主婦」という生き方
自民・公明の両党は「年収103万円の壁」の見直しについて、所得税の控除額の123万円への引き上げを来年度の税制改正大綱に明記する方向で協議に入った。 【写真】主婦年金の廃止に賛成している玉木雄一郎代表 一方で、火種を生んだのが経済同友会などによる新たな提言だ。主婦年金とも呼ばれる「第3号被保険者制度」について、経済同友会の新浪剛史代表幹事は「女性の働き控えを招いている」などと、制度廃止の必要性を指摘している。 厚労省は来年の通常国会に提出される年金制度改革には、制度廃止を盛り込まない方針を表明しており、事実上の先送りとなった。ただ、「第3号被保険者制度」の見直しが廃案となったわけではなく、議論は続いている。 ■国民民主・玉木代表も廃止に賛成 「第3号被保険者制度」とは、厚生年金に加入する会社員や公務員らの配偶者で、年収130万円未満の人が対象。扶養に入れば年金保険料を納付せずに老後の基礎年金を受けとれる制度だ。 1985年に専業主婦の無年金問題を解消する目的で導入されたが、自営業者らから「不公平だ」との根強い声や、加入者のほとんどが女性であるため「女性の社会進出や就業機会を阻害している」といった声も相まって、時の厚生労働大臣が見直しを言及するなど、これまでも廃止論がくすぶってきた。 今回、経済同友会は2024年12月2日に新たな政策提言として、主婦年金の廃止までには5年間の猶予を設け、対象者はこの期間に自営業者らが加入する「第1号被保険者」か、会社員や公務員が加入する「第2号被保険者」に移行する段階的な廃止案を提示した。また、経済同友会に先立って日本商工会議所も11月21日、主婦年金の将来的な廃止を求める年金制度改革に関する提言を公表している。 ■少子化対策や「手取り増額」との矛盾 「103万円の壁」の見直しで一躍「国民の味方」となった国民民主党・玉木雄一郎代表も、主婦年金の廃止を提案している。2024年9月21日のXではその理由について、主婦年金は共働きや独身者を含めた「第2号被保険者」全体で負担しているとした上で、主婦年金を廃止すれば「共働きや独身者の社会保険料の軽減につなげられます」とポスト。2024年12月3日の記者会見でも、玉木代表は「見直さざるを得ない」と改めて述べていた。 しかし、こうした主婦年金廃止に向けた動きに、X上では関連ポストが続出。「子供も産めない男が勝手な事言うな」「子どもはもっと減るね」「子育てしやすい社会にしてほしいのに悪化する一方だ」「専業主婦を追い込んだら少子化が更に加速する」といった、少子化や子育ての立場に立った批判が多く目立った。 中には"国民の味方"国民民主党へも怒りの矛先が向けられ、「手取りを増やすどころか減るだろうが。この大ウソつきめ」「国民民主党の玉木は日本一の詐欺師」などと過激な批判も。さらに、「国民民主の裏には連合がいる。玉木さんの本当の目的はこれだったんでしょうね。」という、国民民主党の支持母体で主婦年金廃止を主張する連合との関係を訝るポストも見られた。 ■バリキャリ主婦の本音