「主婦年金」の廃止は先送り決定。それでも追い込まれる「専業主婦」という生き方
「専業主婦になりたくて、婚活頑張っていたのにがっかりです...」 都内在住で31歳の千明美里さん(仮名)は、苦笑いしながら本音をのぞかせる。千明さんは大学卒業後、新卒でマスコミに入社、以来一貫して編集記者職として働いてきた。年収は750万円と同年代に比べて高額だ。だが、30歳頃からこのような働き方に疑問を感じるようになったという。 「毎日が仕事一色という感じで、何のために生きているんだろうって。結婚したいし、子どもが大好きなんで子どももほしいけど、会社と家の往復で出会いもない。できれば子どもは複数人ほしいので、本当は結婚して専業主婦になりたいんです」(千明さん) 実は千明さんのように、バリバリとフルタイムで働く女性でも、本音は専業主婦を望んでいる女性は決して少なくない。 大手生保会社による「女性の活躍に関する意識調査2022」(全国の20歳~69歳の女性、有効サンプル数1000名)の発表によると、有職女性(675名)に、本当は専業主婦になりたいか尋ねたところ、「非常にそう思う」と「ややそう思う」で33.0%、「あまりそう思わない」と「全くそう思わない」で40.6%となった。年代別では、20代で「非常にそう思う」と「ややそう思う」(43.2%)が、「あまりそう思わない」と「全くそう思わない」(33.3%)を上回っている。 さらに、子どもの有無別にみてみると、専業主婦になりたいと思う人の割合が、子どもがいる人(30.6%)よりも子どもがいない人(35.2%)のほうが4.6ポイント高いことから、千明さんのように現状子どもがいなくて、専業主婦になりたい女性は少なくないとみられ、主婦年金の廃止はこうした千明さんのような女性たちの思いとは逆行する。 千明さんは1年ほど前から、"専業主婦転身"を見据え、会員が年収600万円以上の男性に限定している結婚相談所に登録し、婚活に本格的に取り組んでいる。そんな千明さんもやるせなくつぶやく。 「女性の社会進出とかよく言われますけど、だったら子どもを増やすなんて現実的ではないですよ。『働け。でも結婚して子どもはたくさん作れ』って、普通に考えてムリゲーじゃないですか(笑)専業主婦になって子どもを育てるのは甘いことなんですかね?」(千明さん) 多様なライフスタイルが尊重されるよう、議論が尽くされるべきだろう。 文/山本優希 写真/photo-ac.com 玉木雄一郎公式インスタグラム