紅白、FNS歌謡祭、レコ大、MステSP…「今年は数字が獲れないかも」年末の音楽特番が”不安視される理由”
新旧の楽曲が一年中「供給過多」
ただ、レギュラーの音楽番組が増えたことで「年末の音楽特番における特別感が薄れるのではないか」などと不安視する声が少なくない。ふだんからライブにこだわったステージを見せ、さまざまな企画も手がけているため、「年末だから見られる」という特別感が薄れることを危惧しているのだろう。 そもそも長時間放送されても“推しアーティスト”の出演時間はあまり変わらない。さらに、複数アーティストによるスペシャルコラボも、レギュラー放送に加えて、春・夏の音楽特番でも行われているため、目を引くような共演が減ってしまった。 また、このところ『ミュージックジェネレーション』のような昭和・平成の楽曲をフィーチャーした企画が乱発されていることも難しさを加速。『千鳥の鬼レンチャン』(フジテレビ系)、『バナナサンド』(TBS系)、『ハマダ歌謡祭★オオカミ少年』(TBS系)のような音楽ゲーム企画もあるほか、不定期の懐メロ特番も放送されている。 もう1つ象徴的だったのが、26日に日本テレビが放送した『県民ソング栄誉賞』という音楽特番。「47都道府県の人々が地元ナンバーワンアーティストを選ぶ」というコンセプトだったが、民放の中でもマーケティングに長けた日本テレビがやや強引な切り口の音楽特番を新たに手がけたことに、ある知人テレビマンは驚きの声をあげていた。 レギュラーの音楽番組、バラエティの音楽ゲーム、不定期に制作される音楽特番など、「テレビで新旧の楽曲を聴く機会」が増え、もはや飽和状態に近いところまできた感がある。これまで年末の音楽特番は昭和・平成の名曲を使った企画が「この時期に聴くと心に染みる」という特別感を醸し出してきたが、その感覚が日常になったことで薄れた感は否めないだろう。 実際、この2ヵ月あまり数人のテレビマンから「今年の企画コーナーは特に難しい」という声を聞いた。なかには「多少の企画かぶりは覚悟しなければいけないし、コラボも似たようなものばかりになる可能性が高い」などの悲観的な声もあり、対策が見出せないのかもしれない。