不動産の購入・売却を考える人が知っておきたい「不動産取引」の超基礎知識【税理士が解説】
一般の方々にとって、不動産の売買は身近なものではありません。また、関連する法律や、手続きの決まり事も複雑なため、重要な局面を「人任せ」にしてしまいがちです。しかし、それでは納得のいく取引は実現しにくいといえます。ここでは、不動産取引にまつわる基本的な知識を、できる限り明快かつコンパクトにまとめてみました。税理士・公認会計士の岸田康雄氏が解説します。 【早見表】年金に頼らず「夫婦で100歳まで生きる」ための貯蓄額
不動産の権利
敷地とは、建物を所有する人が所有している宅地のことです。1つの敷地に、独立して利用できる建物を2棟作ることはできません。これを「一敷地一建物」の原則といいます。2棟の建物を持つオーナーの敷地は2つです。つまり、1つの建物には1つの敷地があります。 借地権とは、土地を借りて建物を建てることができる権利です。借地借家法では、借地権のことを、「建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権」と定めています。
不動産登記
不動産登記簿とは、不動産の所有者や権利者、土地や建物の所在・面積などの登記事項が記された帳簿のことであり、所定の請求をすることにより、だれでも登記事項の内容が記載された登記事項証明書の交付を受けることができます。 不動産登記簿は、表題部と権利部の甲区と乙区の3つから構成されています。 表題部には、土地や建物の表示に関する事項が記録されています。土地の登記では、所在、地番、地目、地積などが、建物の登記では、所在、家屋番号、建物の種類・構造および床面積などが記録されます。 一方、権利部の甲区には、所有権に関することが記録されます。売買が行われるときの所有権移転登記は、権利部の甲区において、新しい所有者の住所や氏名などが記録されます。 権利部の乙区には、所有権以外の権利が記録されています。たとえば、抵当権、地上権、賃借権、配偶者居住権です。 マンションなどの場合、建物は区分所有となるため、専有部分を所有するための敷地の権利を「敷地利用権」として記録することになります。建物と一緒に記録されています。