「明日が来なければいい」――ベジータ芸人・R藤本 闇の先に見いだした「負けの美学」
あの名セリフを叫びたい
ニコ生でも舞台でも、藤本は常に自分で企画し、動き、実行する。「DB芸人」のライブでも企画はもちろん、脚本・演出まで担う。 「自分はアマチュア時代、芸歴半年くらいのときから主催ライブをやっていたんで、オファーがなければ自分でやればいいだけっていう考え方。でも、芸人の中には、十数年やっても待ってるだけで単独ライブのひとつもやっていない人も結構いるんです。何をみんな使ってもらうのを待ってるんだ?って」 「結局、好きなことをやりたくて始めたんで、ライブも主催するし、生配信の企画も出す。それをずっと続けてるだけ。あとは、尊敬する芸人が自分を求めてくれるなら応えたいですし、盛り上げたい。だからあまり誰かを目指すとか『こうなりたい』とかはなくて、むしろ自分の中で『こうやりたい』を実践したいんです」 「売れたい」「金を稼ぎたい」ということよりも、自分が好きなこと、楽しいと思えることをやるために自ら動き続ける藤本。今、やりたいことは「DB芸人」たちが出演し、自作の『DB音頭』を踊ったり、「きたねぇ花火だ」「ビッグバンアターック!」などと“実況”したりする「花火大会」の開催だという。誰かと競い合い、勝って強さを証明することが目的ではない。芸人・R藤本が持っているのは、自分のやりたいことを貫き、我が道を行く、しなやかな“強さ”だ。
R藤本(あーる・ふじもと)
1981年03月16日生まれ。福岡県 久留米市出身。NSC東京校 10期生扱い。Mildom『ベジータ様のゲーム地獄』、ニコニコ生放送『水曜はじけてまざれ!』ほか、YouTubeチャンネル『R藤本の遊びにいってやろうぜ!』で配信中。特技はドラゴンボール知識、ボードゲーム(海外のもの100種類以上に精通)、大喜利。
てれびのスキマ/戸部田 誠(とべた・まこと)
ライター。著書に『タモリ学』『1989年のテレビっ子』『笑福亭鶴瓶論』『全部やれ。』などがある。最新刊は『売れるには理由がある』。