【有馬記念・2006年】ディープインパクト、”クリスマスの衝撃”乗り越えて異次元の強さで駆け抜けたラストラン
◇歴史に名を刻む 有終グランプリ 古くはオグリキャップ、最近ではリスグラシューにキタサンブラックとこのグランプリでは引退レースを歓喜の白星で飾ってきた歴史がある。 ◇ ◇ 手にしたGⅠタイトルは7つ。シンボリルドルフ以来、21年ぶりとなる無敗でクラシック三冠の偉業を成し遂げるなどディープインパクトは、異次元の強さでターフを去るまで華麗に駆け抜けてきた。 栄光の始まりは2004年12月。新馬戦で2着に4馬身差をつける衝撃デビューを飾ると、翌05年の若駒Sも圧勝。その時点でクラシック戦線での活躍を予感させた。期待通りに皐月賞は2馬身半差、日本ダービーも5馬身差の完勝。さらに菊花賞では単勝支持率が史上2位の79・03%で元返しという圧倒的な支持にもしっかり応えてみせた。 そんな連勝街道まっしぐらのディープに初めて土が付いたのが、その年の有馬記念。百戦錬磨の古馬を相手に唯一の3歳馬として挑んだが、先に抜け出したハーツクライを半馬身捕らえることができなかった。当日は12月25日。ディープにとって初めての敗北は”クリスマスの衝撃”として語り継がれている。 とはいえ、翌06年も相変わらずの強さ。春は阪神大賞典から天皇賞・春、宝塚記念と3連勝。そして凱旋門賞の失格を乗り越えてジャパンCを制すと迎えたラストラン有馬記念。後方3番手から運び、4角過ぎにゴーサインが出されると外から一気に突き抜けて3馬身差の有終V。豪快なまくりで花道を飾った。 馬体重は440キロ前後とどちらかといえば小柄な馬だったが、瞬発力に富み、爆発的な末脚を発揮できる名馬だった。武豊が「まるで空を飛んでいるよう」と表現した躍動感あふれる走りはレースごとにファンを魅了。強烈なインパクトを与えてくれたディープの栄光は、日本競馬史上最強の一頭として輝き続けている。
中日スポーツ