前回のリセッションから15年 投資家よ、「備え」は万全か
「しばらくのあいだ、トレンドを下回る成長が継続する」
金利は、景気循環において重要な役割を果たしており、リセッションと密接に結びついている。米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長は先ごろ、「しばらくのあいだ、トレンドを下回る成長が継続するだろう。引き続き、政策措置の効果を感じ続けることになる」と述べた。 高い金利は、リセッションにつながる可能性がある。FRBは今秋、金利を引き下げると大方が予想しており、現状は難しい局面にあるといえる。金利上昇がリセッションにつながる理由は、次のように非常に単純だ。 ・企業や消費者の借入コストが増加する ・経済活動が鈍化する ・投資と支出が減少する 逆に言えば、リセッション中には、経済成長を刺激しようとしてFRBはしばしば金利を引き下げる。金利と経済活動のあいだにこのような関係があるからこそ、投資家は、FRBの行動や発言を注視しているのだ。 次のリセッションがいつ来るのかを予測することはできないが、投資家は今のうちから、次のような手立てを講じて、ポートフォリオを準備することができる。 ・分散投資:さまざまな資産クラス、セクター、地域に投資を分散させる ・優良株:強固なバランスシート、安定したキャッシュフロー、競争優位性をもつ企業に注目する ・景気後退に強いセクター:公益事業や生活必需品など、一般的に景気後退時にパフォーマンスが向上するセクターへの投資割合を増やすことを検討する ・現金準備:市場の下落時に「買い」の機会があったときに逃すことがないよう、現金の余裕を維持する ・債券:高格付債券は、市場が乱高下している時期にも安定性と収益をもたらす ・定期的なリバランス:目標資産配分を維持するため、定期的にポートフォリオを調整する ・長期的な視野:リセッションや市場の低迷は、一時的なものであることを忘れてはならない。歴史的に、市場は常に回復を遂げ、最高値を更新してきた ダイモンCEOがいみじくも助言しているように、「いかなる環境にも耐える、要塞のようなバランスシートを構築せよ」だ。リセッションの兆しに怖気づくこともあるだろうが、景気後退は、景気循環の正常な一部であることを忘れてはならない。リセッションとはどのようなもので、それが市場に通常どのような影響を及ぼし、それにどう備えればよいかを理解することで、投資家は、自信をもって将来に臨むことができる。 マーケットという大いなる告解の場において、この15年間リセッションに見舞われてこなかったことは、結局のところ我々にとって罪ではなく、むしろ準備期間を与えてくれた恵みなのかもしれない。今後も繁栄が続くことを願いつつ、同時に、どのような困難が待ち受けていてもいいように、手堅くポートフォリオを準備しておこう。
Robert Daugherty