【更年期不調をラクにする「自律神経」の整え方②】不眠や中途覚醒がツラい更年期世代。睡眠の質を上げるセルフケアって?
【簡単セルフケア②】 睡眠の質を改善する「神闕(しんけつ)」のツボを温める 「睡眠にも熱が関わっています」と森田さん。東洋医学では、「睡眠時には、“陽気(暖気)”が、お腹に集まると良い」と、二千年以上前の書物にも書かれ、受け継がれているのだとか。 「おへそのあたりには、神闕(しんけつ)というツボがあります。ここを睡眠前に温かい手で温めたり、火傷をしないよう、厚地の服の上に小さなカイロを貼って温めることで、睡眠の質は改善します。就寝前、おへそを中心に、その周囲をカイロやお湯を入れたペットボトルを当てて温めましょう。手が温まっていれば、イラストのように手を当てるだけでもOK。不眠をはじめ、冷えによる腹痛、便秘、下痢、胃腸の不調、偏頭痛、耳鳴り、やる気の低下、アレルギーなどの症状にも効果があります」 「神闕」のツボをカイロで温める場合、日中も温めたいならカイロは下腹部に、就寝前に温めるならカイロはおへその真上に貼ろう。
「23時就寝」とは言うけれど…でも、なぜ大切なの?
不眠以外にも、貧血や動悸、疲れ目、耳鳴り、月経過多、不安などの更年期症状がある時は、夜は23時までに寝るのが理想的。でもこれを守るのは、なかなか難しい! 「更年期症状の対策として、病院でも鉄分や亜鉛などのサプリをすすめられることがありますよね。東洋医学でも、血液やホルモンの働きを示す血(けつ)の不足が原因にあると考えます。このように東洋医学と西洋医学では、言葉は違えど似ている部分が多くあります」 睡眠時間と体調の関係をわかりやすく示しているのが下のイラストの「子午流注(しごるちゅう)」。一日を12分割して、さらに五臓六腑を配分した考え方だ。
【子午流注】 「鍼灸や漢方などの東洋医学の先生は、たしかによく、夜は23時には寝てくださいと言いますよね。それはイラストの中にある、“胆”と“肝”の部分に理由があるんです。この2つは血(けつ)と関係が深い臓器で、23時から午前3時の間に休ませることが、血を増やすことにつながっているからなんです」 この時間帯に睡眠を取らずにいると、どうなるのだろうか? 「体調を落ち着かせる働きを持つのは、“陽気”の反対の“陰気”です。“胆”と“肝”が充分に休めずにいると、この陰気が減り、体はいわゆる貧血状態になってしまうんですね。すると、不眠や他の更年期症状もなかなか改善しません。 仕事があったり、家事や子育てで忙しいOurAge世代の人は、どうしても就寝時間が遅くなりがちですが…。少しでも早く寝る日を設けたり、セルフケアで体を温める時間を作ったり、ご自身でバランスをとることを心がけてほしいですね」 また、就寝前に目を酷使することでも肝は疲れやすくなるため、PCやスマホの見過ぎには要注意。ブルーライトは交感神経を優位に働かせる作用があり、脳が覚醒して寝付きが悪くなるため、注意しよう!
【教えてくれたのは】 森田遼介さん TC鍼灸マッサージ院院長。はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師(国家資格)。鍼灸院などに勤めながら、勤務後や休日に個人で訪問治療を行い、予約1年待ちが続いたタイミングで2023年2月に独立、4カ月で予約満杯となる。現在は埼玉・東京エリアの訪問自費治療を中心に活動。人生100年時代をできるだけQOL(生活の質)を落とさない目的の治療が需要として高い。*現在、新規予約は紹介制のみ。近著に「自律神経にいいこと大全100」 イラスト/きくちりえ(Softdesign) 取材・原文/井尾淳子