“たった5分”の早起きで生まれる心のゆとり/塩沼亮潤大阿闍梨「くらしの塩かげん」
1300年間にわずか2人しか成し遂げた人がいない荒行「大峯千日回峰行(おおみねせんにちかいほうぎょう)」の満行者、塩沼亮潤(しおぬま・りょうじゅん)大阿闍梨(だいあじゃり)。最難関の命がけの荒行を経験し、修験道を極めた塩沼さんがいま切に感じるのは「日々の“あたりまえ”のことこそ難しい」ということ。 塩沼さんの最新刊『くらしの塩かげん』から、私たちの“あたりまえ”の暮らしにそっと光を灯す小さなヒントをお届けします。
朝の5分が、1日を変える。
文/塩沼亮潤 朝は出発時間ギリギリまで寝ていて、バタバタと支度して仕事や学校に向かう。そうなると、ちょっとでもトラブルがあれば遅刻ですし、何よりも心に余裕がないと、態度や言動にもゆとりがなくなってしまいそうですよね。 そんな人におすすめしたいのは、目覚ましの時間を5分だけ、早めることです。 大峯千日回峰行では、出発は夜中の0時30分、戻りは15時30分と決めていました。待っているお師匠さんに心配をかけないためにも、時間を守ることは私の中で「絶対」でした。 出発前に何も問題がなければ、0時25分に出発します。毎日同じペースで歩くので、到着が5分早まる計算です。ところが、5分余裕を持って出た日は、決まって10分、15分と不思議なことに時間に余裕ができるのです。 逆に、遅れてしまったときに「取り戻そう」と必死に歩いても、今度は10分、15分とどんどん遅れていってしまいます。いまだになぜかわかりませんが、心のゆとりなのでしょうね。 朝のたった5分という時間が、一日の出来を左右するのです。
塩沼亮潤(しおぬま・りょうじゅん)
1968(昭和43)年、宮城県⽣まれ。1987年奈良県吉野の金峯山寺で出家得度。1999年「⼤峯千⽇回峰⾏(おおみねせんにちかいほうぎょう)」の満⾏をはじめ、2000年には9⽇間の断⾷・断⽔・不眠・不臥の中、御真⾔を20万遍唱える「四無⾏(しむぎょう)」を、2006年には、100日間の五穀断ち・塩断ちの前⾏の後、8000枚の護摩を焚く「⼋千枚⼤護摩供(はっせんまいだいごまく)」を満⾏。同年故郷の仙台市秋保に福聚山 慈眼寺(ふくじゅさん じげんじ)を建立。「⼼の信仰」を国内外に伝えている。簡単なようで難しい日々の「あたりまえ」の大切さを綴った最新刊『くらしの塩かげん』(世界文化社刊)大好評発売中。