福田正博氏「自分たちのサッカー」にとらわれすぎてしまった
決勝トーナメントの戦いが繰り広げられているサッカーのワールドカップ(W杯)ブラジル大会。残念ながら日本はその舞台にはいない。攻撃的なサッカーを掲げながら、W杯という大舞台で「自分たちのサッカー」を十分に発揮できないまま、グループリーグで敗退してしまった。日本はこれからどんなサッカーを目指して、どう戦うべきなのか。元日本代表のサッカー解説者、福田正博氏に聞いた。
福田氏は日本代表の3試合を振り返って、結果ももちろん残念だが、一番残念だったのは「自分たちが4年間準備してきたことをまったくピッチの中で表現できなかった」ことだという。特に初戦のコートジボワール戦は、逆転負けしたという結果よりも内容がまったく伴っていなかったことが問題で「選手たちもショックを受けているのではないかと思う」と語る。 その原因は日本代表が「自分たちのサッカー」にとらわれすぎたからだと分析する。「『自分たちのサッカー』にあまりにもとらわれすぎてしまって、それを表現しよう、それをうまくやろうとこだわり過ぎてしまった。うまくいかない、うまくいかない、と考えているうちに90分間が終わってしまったのがコートジボワール戦なのかなと」。 「自分たちのサッカー」とは、試合に勝つために自分たちの得意とする形で戦うという「方法論」に過ぎないのに、それが「目的」になってしまっていたように見えると指摘する。サッカーは対戦相手がいるスポーツなので、自分たちが思うようなプレーができないことがあるのは当たり前で、「そういうときに、どうやって対応するかという準備ができていなかった」と語る。 そしてもっと勝利にこだわるべきだったという。「ディフェンスにしても攻撃にしても、ダイナミックさやアグレッシブさがなかった。W杯なのだから、もっと勝つことを前提に勝つためにはどうすればよいのか、をもっと考えながらやるべきだった」。 日本代表はあまりにも「つなぐ」ことにばかりとらわれていた、と福田氏はいう。「自分たちのサッカーはパスサッカーだと勝手に決め付けていた。何のためにパスをつなぐのかというと、ゲームをうまく支配して、ゴールを取るため、もしくはボールを長くキープすることで失点のリスクを減らすため。それなのに、つなぐことが目的になって、ショートパスをつながなくてはいけないというような状態になっていた」。 福田氏は、攻撃では相手のボールを奪ったら、まず一番相手ゴールに近い選手を見て、ディフェンスラインの裏が空いていれば、そこが一番最初の選択肢になるという。しかし今回の代表はそういう発想の前に「まずは近くのパス」が選択肢になっていたと語る。