「損した気分」「松屋はやめて吉野家に行くか…」との声も。牛丼チェーンが導入し始めた「深夜料金」に不満の声が続出する“本質的な理由”
実は、同じような属性の男性を表す言葉は世界各国にあるが、日本ではそれに「牛丼」の名前が冠されているのだ。例えば、韓国語では「淘汰男」というらしい。こうした単語に牛丼屋で扱われるメニューが登場するぐらい、日本人にとって牛丼屋が浸透しているのだ。 水道や電気が通っていることを意識しないのと同じように、私たちは知らず知らずのうちに24時間やっている牛丼屋を「ふつう」のものとして捉えている。 しかし、当然のことだが、社会が移り変わるとともに、24時間営業の弊害も出てくる。すき家で話題になった「ワンオペ」の弊害など、その歪みが徐々に明るみに出てきたのだ。
というより、そもそも深夜営業が前提になっている状況に無理があったともいえるかもしれない。 深夜料金の設定もそうだが、こうした状況に対応して各社がいろいろな戦略を取っているのが現在の状況だ。 「ディストピア容器」として有名になったすき家のプラスチック容器は、従業員の人々の皿洗いの手間を省くために導入されたもので、各社こうした「インフラ」を持続していくためにさまざまな施策を行っている。 ■牛丼屋24時間営業はいつまで続くのか?
あまりにも私たちは牛丼屋が24時間やっていることに慣れすぎてしまって、それが少しでも変化しようものなら戸惑ってしまうのだ。それが、前述したようなSNSの声に表れている。 同じレストラン業態で24時間営業をしている場所といえば、ファミリーレストランだが、こちらも「24時間営業」は普通のものではなくなっている。 2020年にはファミリーレストラン大手のすかいらーくグループが24時間営業を全廃した。2023年には一部店舗で再開されたものの、全体的な流れとして、24時間営業がなくなっていくのは確かな流れである。
牛丼屋も、現在では「インフラ」を維持する方向で対策が取られているが、24時間営業でなくなるのも時間の問題なのかもしれない。 それがいつになるか、まだわからないが、ひとまず24時間営業を続けてくれている各社に感謝しながら牛丼にありつきたいものだと思うのだった。
谷頭 和希 :チェーンストア研究家・ライター