Amazonが新たな買い物体験の創出をめざす仮想ショールーム「Beyond」とは? 没入型テクノロジーが生む新たなショッピング体験
Amazonのバーチャル進出は長期的な挑戦
Amazonの最新のバーチャル技術の取り組みについて、すべての専門家が進出を楽観的に捉えているわけではありません。 マーケティングオートメーションプラットフォームOmnisendの上級Eコマースエキスパートであるグレッグ・ザコヴィッチ氏によると、Amazonは仮想空間でのショッピングで長期戦に挑んでいると見ています。
┌────────── Amazonがこのような形式のストアを立ち上げたのは、今回のホリデーシーズンが初めてではありません。Amazonは、仮想ショッピングモールを売上アップのためというよりは、サイト上でのユーザー行動のデータ収集、ユーザーに商品を提案する手法の1つとして利用しているのではないでしょうか。(ザコヴィッチ氏) └──────────
しかし、ザコヴィッチ氏は「仮想モールでのショッピング体験は、ユーザーにとって気になる商品に出会うことを促進できるほどスムーズにはいかないと考えている」と付け加えます。 ザコヴィッチ氏はむしろ、このバーチャルショップはAmazonにとって何がうまくいって、何がうまくいかないかを試すチャンスであり、そこから学び、調整を繰り返して、将来のショッピング体験をより良いものにしていくだろうと想定しています。 ザコヴィッチ氏は『Beyond』内での検索結果「父親へのプレゼント」や「祖父母への贈り物」を例に挙げ、「よりスムーズで統合された検索機能とカテゴリー機能が必要でしょう」と指摘しています。 ┌────────── バーチャルショップは今後数年間は人気が出るかもしれませんが、残念ながら『Beyond』が主流になることはないでしょう。(ザコヴィッチ氏) └────────── ■ 日常的に気になる商品を見つけられる場をめざす ザコヴィッチ氏は、Amazonはバーチャル市場で長期的な挑戦をしていると見ています。「ユーザーのサイトUI・UXの好みを理解し、ユーザーが日常的に関心の高い商品を発見できるような仕組みを体験の一部にする方法を模索することも、Amazonの挑戦の1つです」(ザコヴィッチ氏) Amazonは顧客に対して、オンライン上でのユーザー行動のデータ蓄積と、「目的の商品だけでなく、新たな商品に出会う場でもある」とう意識改革をすることが必要であるとザコヴィッチ氏は指摘しています。 ┌────────── Amazonのユーザーは、何かを必要としていて、それを見つけるためにサイトを訪れる人がほとんどです。そのため、今まで意識していなかった新たな商品の発見はほとんど行われていないのです。(ザコヴィッチ氏) └────────── それでもザコヴィッチ氏は、このバーチャルショップは、特にホリデーシーズンにおいて、商品が発見できるECプラットフォームを構築するための一歩だと考えています。 ┌────────── Amazonはホリデーシーズンで毎年、おもちゃを特集したカタログを発行し、ユーザー向けに発送して、新商品を見つける機会を提供しています。私にはちょうど数週間前に今年のカタログが届きました。デジタルでも同じく、新商品の提案に挑戦し、買い物体験を最適化し続けることは理にかなっているといえるでしょう。(ザコヴィッチ氏) └──────────